2019年4月2日火曜日

一時帰国/平成日本の閉塞感

大阪・京橋のとり料理店にて
27日は、夕方から3年ぶりに弟分のU先生と会った。工業高校で長く共に仕事をして、その後M高校で再会した社会科教師の仲間である。彼とは、遠慮無く、また忌憚のない討論が出来る。萩本欽一氏ではないが、彼の社会情勢をキャッチするアンテナは常に何本も立っていて、こちらも勉強になる。今は、大阪市立のSという総合高校で学年主任をしている。

5時間にもおよぶ対話の中で、私が最も聞きたかったのは、日本の現状を彼がどう見ているかということだった。マレーシアにある私は、今の日本の真の姿が見えにくい。ニュースやYouTubeでは、ネトウヨさんの嫌韓情報だけが流されていて、危機感をつのらされるばかりだからだ。彼は、端的にこう言った。「人口減による閉塞感ですね。」「ゆとりがないので、韓国に対しても過激に反応する輩が生まれている。」…なるほど。大阪市の教育現場にあって、この3年でも大分変化があったようだ。大阪市の専門学科(M高校の英語科やM工業高校、B商業高校など)は、今年軒並み定員割れをしていて、すでに時代から取り残されていると彼は感じている。その時代とは、二分化された階級社会的な閉塞感なのだという。高度経済成長期にもてはやされた理念はすでに完全になくなっているのに、変化に対応していないのが原因だという。優秀な生徒は志もあり、克己心も旺盛だが、その他の生徒はカースト化され、未来への希望は自己の現能力に正比例したものになっている。進学先を見ても、それは明らかである。何をしたいのか、将来への夢は?と問うても彼らは答えようがない。そういう閉塞感…。

「大正末期に似ていると思いますねえ。」これが彼の結論といえるだろう。彼の分析はおそらくかなりの部分であたっているのだと私は思う。こうして、肝胆照らして語り合える仲間がいるのは幸せなことだ。

これで、一時帰国の予定は一応終わったことになる。本当は、前任校・H高校ののOB・OGと会いたかったのだけれど、彼らはちょうど卒業、就職の多忙な時期に重なってしまったので、今回は遠慮した。その他にも会いたかった友人や卒業生もたくさんいるのだが、一週間弱という短い一時帰国だったので、残念ながら連絡を遠慮した次第である。

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