2019年3月28日木曜日

マレーシア連邦憲法を読む 5

マレーシア宗教裁判所 http://www.kehak
iman.gov.my/nsembilan/ms/node/234
マレーシア連邦憲法の第5条は「人間の自由」である。ここは、日本国憲法と対比してみようと思う。(1)は、『何人も法律によらざれば生命、人間の自由を奪われない。』日本国憲法では13条にあたる。(2)(3)は、身体の自由で、日本国憲法では31条から34条にあたる。(4)は、日本国憲法とは対比できない条項である。『何人も逮捕され、釈放されない場合は、不当に遅滞することなく、いずれにしても24時間以内に(護送に必要な時間を除く)裁判官の前に立たねばならず、かつ同裁判官の許可なしにこれ以上拘禁されないものとする。ただし、本項は居住制限に関する現行法にもとづく逮捕もしくは交流された者には適用されない。また本項の規定はムルデカデー(*前述)以降、本条の枢要部分を構成すると見なすべきものとする。また本条を移民に関わる法律により逮捕もしくは拘留された市民以外の者に適用する場合は、不合理な遅滞なしに…を14日以内にとして読むものとする。(原文)』

…(4)の意味はかなり難しい。最初の部分は、日本国憲法の第34条の『何人も、理由を直ちに告げられる。』に値するものだと思われる。次の本項の居住制限云々には、深い意味がありそうだ。ムルデカデー以後は、この条項が生きるがそれ以前には適用されないこと、移民には14日の猶予が与えられるというのも、独立後の移民政策と関わりがありそうである。さて、実は、(4)には続きがある。

(4)のつづき『またさらに、イスラム法廷<Syariah court>で裁かれるべき罪科にもとづく逮捕の場合、本条における地方裁判事への言及は、イスラム法廷の判事への言及を含むものと解釈する。(原文)』

…要するに、イスラム法廷で裁かれるべき罪科で逮捕された場合は、イスラム法廷優位の原則を述べていると、考えられる。ムスリム女性が他の一神教男性との結婚しようとした場合などのケースが、以下のページで示されている。
https://kyotoreview.org/japanese/constitutionalizing-and-politicizing-religion-in-contemporary-malaysia-japanese/

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