2019年3月13日水曜日

北アイルランド問題の亡霊

北アイルランド/ベルファストの壁画 
http://enmangaplus.blog38.fc2.com/blog-entry-71.html
イギリス議会が混迷ししている。国民投票で離脱を決めたものの、EUとの交渉は難航しており、先が見えない。"POST TRUE"が2016年のイギリスの流行語大賞になった後、さっさとEUを離脱するのかと思いきや、”TRUE”が現実的に見えてくると、反対者が増えてきたようだ。イギリスがEUから離脱した場合の経済的デメリットがあまりに大きいことがわかってきた。別にEUから離脱しても国内の失業率は減らないし、ポーランド移民を追い出せるわけでもない。メリットは、唯一、EUの政治的しばりから抜け出ることが出来るという一点である。EU内でも、たしかに統合の理想は、各国の国益とナショナリズムの高揚で崩れつつある。安易なポピュリズムに流されると危ない。イギリス(とアメリカ)はそのまさに好例である。
議会がもめている最大の理由は、北アイルランドと、EUの一員であるアイルランドとの膨大なボーダーが大きな懸念材料になっているからである。イギリスがEUを離脱する以上、なんとか平和を保ってきたこの国境が経済的な新たな障壁となるわけだ。これをどう処理するか、下手をすると、北アイルランド問題が再燃しかねない、と議会はかなり懸念していたわけだ。
https://www.bbc.com/japanese/47548154

ところが、今日のニュースによると、爆弾の入った郵便物がイギリス国内でいくつか発見された。IRAと名乗る者からの犯行声明が届けられたという。もちろん、これが真実、(復活した)IRAのものなのかはスコットランドヤードが調査中であるが、まさに、亡霊。
https://www.afpbb.com/articles/-/3215445

冷戦後の世界に再構築された「ポスト近代国家」、EUの自由貿易下の平和統合の実験は、グローバリゼーションの格差拡大の中で、もろくも崩れてしまうのだろうか。各国はまた、元のように、国益を追求しつつぶつかり合うのだろうか。

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