2019年3月2日土曜日

PBTの話(14) ASEAN

http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2017/2017honbun/i1410000.html
F42の国費生は、まだ日本語が中級で、理解力には難がある。で、パワーポイントを主体に地理を最初に教えているのだが、意外に意識が高く、このところ難しい話もしている。

今週のある日の授業の前、パワーポイントのセッティング中に、「金持ちと貧乏の差が大きいことは日本語で何と言いますか?」という質問があった。(おそらく日本語の作文で必要なのだろうと思う。)「経済格差かな。」と黒板に書いた。そして、授業が始まったのだが、この日は東南アジアの地誌。ところで、東アジアの地誌については、EJUではあまり出題されない。中国や韓国、ベトナムなどの留学生が多いので、出題する側も敬遠するのではないかと思われる。東南アジアの地誌も同様である。
https://www.pinterest.com/pin/555420566521448289/?lp=true
なので、東南アジアについては、軽く流そうと考えていたのだが、今日の画像のグラフ(経済産業省作成)を使って、俯瞰するつもりだった。ASEANといっても、国によってかなり違う。資源のある国、工業生産や金融で伸びている国…。ところが、学生はこのグラフに大いに興味を示したのだ。実際のパワーポイントには、この横に1人あたりのGDPを国別ランキングで示してあった。

何故、シンガポールが高いのか?3位のマレーシアと4位のタイの差はどうして生まれているのか?そんな私の質問に、みんな口々に意見を言ってくる。ここで、第一次産業・第二次産業・第三次産業の収入の違いを、100円の缶コーヒーに占める収入の割合で教えた。これはもう地理ではなく経済であるが…。第一次産業の収入の低さに、皆驚いた。経済の基礎中の基礎であるが、中級レベルでも十分理解可能なことがわかった。で、第一次産業人口比率を、シンガポール、マレーシア、タイで比べると、その答えが出てくるわけだ。こういう授業が、この時点で出来るとは思わなかった。うれしい誤算である。

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