2019年3月8日金曜日

「知の逆転」を読む Ⅰ

朝日新聞の平成の30冊の中に、「銃・病原菌・鉄」という本が入っている。この本、長い間気になっていた本で、まだ読んでないのだが、先日、日本人会の無人古本コーナーで入手した「知の逆転」に出てくる。著者のジャレド・ダイアモンド氏へのロングインタビューの中で、この「銃・病原菌・鉄」の要約が語られる。

要するに、西欧の覇権が、民族の能力の違いによるものではなく、単なる地理的な有利性に過ぎないことを喝破している本だという。たまたま良い季候(西岸海洋性気候)にめぐまれ、家畜化できる野生動物や農業か出来る野生植物が近くにあったということ。そのうえ、ユーラシア大陸は同じような気候条件下で東西に広がっている土地だったために、家畜化した動物や農業化した植物を簡単に別の土地に広めることができた。(アメリカ大陸など南北に土地が広がっていると、気候が異なり飼い慣らした動植物を別の地域に移せない。)家畜化された大型動物と穀物によって農業が発達すると、食糧の余剰と冨の余剰が生まれ、人口が増えて、専門家の出現を可能にしたため「銃」などのテクノロジーも発達した。同時に家畜から移った細菌によって免疫力がつき、新大陸征服時には、これらの銃と馬と細菌が威力を発揮することになったという。

インタビユーの中で、ダイアモンド氏は「アフリカが最も貧しい大陸であるのは、それ全体がほぼ熱帯気候にあるからで、熱帯地方には公衆衛生上の問題や、マラリア、黄熱病といった病気、土地が不毛であることなどいくつもの大きな問題があります。アフリカの土地は不毛で、今後も将来にわたってこの事実は変わらないでしょうし、アフリカは公衆衛生面で、常に多くの問題に対応しなければなりません。現時点でも地理的な要素こそがアフリカが貧困である大きな理由をしめているのです。」と語っている。

…アフリカがほぼ全体が熱帯気候にあるというのは、ちょっと異論がある。熱帯と乾燥帯といったほうがよりわかりやすいと思う。アフリカ開発経済学的に、この見地は正しいと思う。社会学、国際関係学、文化学などを専攻するF40Aの学生諸君には、是非読んでおいて欲しい1冊だな。日本に行って、クレジットカード作って、アマゾンで検索して注文したら、文庫本で1円+送料で買えるぞ。ただし、上下巻だけど。
…ところで、ダイヤモンド氏、名前からわかるようにユダヤ系だが、本人は不可知論者ではないそうだ。この「知の逆転」という本についても何度かエントリーすることになりそうだ。

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