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マレーシアでは、前政権が一帯一路政策に深入りし、多額の負債を抱え、汚職の温床になってしまった。また一方で、植民地以来の移民である中国系の人々が平和的に共存しており、ブミプトラ政策でマレー系との経済格差は縮小方向にあるものの、未だに様々な問題を抱えていることは否定できない。マハティール首相は、少なくとも新たな中国本土からの経済進出や人口流入には否定的である。これは、自国のアイデンティティを護るべきだという意志の表れであると私は思う。
在マレーシア(もちろんマレーシア国民である)の中華系の学生を多く知る私としては、彼らの背負っているものを100%理解できているとは思わないが、様々な逡巡があることは知っている。マレー系の学生が、マイノリティーの中華系・インド系をどう感じているのかも千差万別であるようだ。すでに60年以上の多文化共存の歴史をもつマレーシアでさえ、多文化共生は実は大変なのである。カトリックの多いフィリピンに、本土の中国系が大量に移民してくる事がいかに大変かを伝えに行ったのではないか、と思う。
おそらく、個性的なフィリピン大統領に、こんな話をできるのはマハティール首相しかいないだろう。フィリピンは、ASEAN成立当時より経済的には疲弊しており、他国での出稼ぎ労働の送金がGDPに占める割合が高い。中国への遠慮もあると、大統領は述べたようだ。もちろん、マハティール氏の「債務の罠」発言に中国は反発している。このせめぎあい、極めて興味深い。
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