2019年3月15日金曜日

「知の逆転」を読む Ⅳ meta

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「知の逆転」を読み終えた。アカマイ社というインターネットのインフラを支えているともいうべき企業を立ち上げたトム・レイトンというMITの応用数学科教授の話も面白かった。私はおよそ数学的思考は苦手だが、こんな話が出てくる。n²+n+41という数式にn=0を入れると、答えは41という素数になる。n=1なら1²+1+41=43で素数。n=2なら4+2+41で47で素数。これを10回、20回と続けても素数になる。ビジネスの世界なら、数回の計算で「この式の答えは素数になる」と結論づけるだろうが、nに40、41またはそれ以上の数を入れると素数ではなくなるのだという。数学というのはもともと証明と確定性の学問で、「ある事象は正しいように見える」から「ある事象は真実だ」というところまで突き詰めるものだという。…この数学的訓練がビジネス上の決断を下すのに役立つのだという。

ところで、この本を読んでいて、ふと「メタ(meta)」というコトバを思い出した。いつの国際理解教育学会の研究発表大会であったか忘れたが、F先生を始め、多くの大学の先生方の講演の中で「メタ」というコトバが使われていて、私などはまったく意味不明だったことがある。(国際理解教育学会は大学教授や大学院生、そして現場の実践者である我々が共存しているのが意義深いと思う。)こういう、謎のコトバが、学校現場以外の国際理解教育のセミナーなどでも使われることがあって、大いに勉強になる。スキルやガバナンスなど、今ではフツーに使っているコトバも、実は最初は未知のコトバだった。で「メタ」である。メタというのは、いろいろな使い方がある。一番分かりやすいのは形而上学(Metaphysics)で、超物理学というか、高次な物理学というか、とにかく物理学が対象とする現象を超えたと言う意味で使われるギリシア語から来ているコトバである。
改めて調べてみると、メタ的思考やメタ学習法について書かれているWEB記事もあった。俯瞰的な見方、より客観的視点などと言えるようだ。…なるほど。F先生はじめ、当時の大学関係者の間で流行っていたコトバであると思う。(もう今は、国際理解教育の世界では、フツーのコトバになっているはずだ。)
https://abitus.info/work/meta-thinking.html
http://images.huffingtonpost.com/2016-12-01-1480565636-4396403-cmrubinworld_AdobeStock_104633967500.jpg

…こうしてマレーシアにあって、そういう先端的な学術の場から大きく離れていることをふと実感する。開発経済学の最新刊も読めないことも、ちょっと辛いな、と思う。
…メタ的に見て、マレーシアの地でおそらく他ではできないような貴重な教育実践をしながら、贅沢な悩みをかかえている自分がいることを再発見した次第。

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