2019年7月16日火曜日

PBTの話(45) 難民問題

ロヒンギャの難民キャンプ 
http://gooddo.jp/nf/article-scj-1/?from=twt_002_nf1_cp1_fm1_all_b_1
国際関係の最後の授業は、難民問題である。まず、最近報道がされていないシリアの難民問題を考えてみる。
なぜ国連安保理で、シリア非難決議案を、ロシアと中国が拒否権発動したのか?シリアに海軍基地をもつロシア、ウィグル問題を抱える中国。昨日、ウィグルの話をしたばかりなのに、なかなか学生の頭の中で結び付いていない。こういう学んだことの結びつけの訓練は、国費生には特に重要だと思う。

アメリカは真剣に対応しないのか?ソマリアPKO以来の空爆ONLYは、アメリカン・ママへの配慮であり、石油関連でも最近はシェールで最大の産油国となった故に、イエスをキリストと認めさせたいアメリカのキリスト教原理主義者やその支持を受ける政治家にとって、イスラエルの安全保障以外の中東問題の軽視傾向を語る。

旧宗主国フランスは、難民の受け入れに極めて消極的なのは?フランスの伝統社会を守るべきという政教分離主義とテロの頻発などの反イスラム感情か。

イギリスは、インド・パキスタンなど旧植民地国の移民は受け入れるが、英語圏でないシリア難民には、これまた極めて冷たい。EU脱退のきっかけとなった移民増加への非論理的な排斥感情もある。

ドイツが、受け入れる姿勢を示したのは、雇用創出への期待。ナチスの歴史を払しょくするための国際貢献。しかし、様々な軋轢(この言葉の説明にはなかなか時間がかかる)が、反移民勢力を拡大させているのが現状。

日本が受け入れないのは、なんといっても日本語が難しく、長期の日本語学習がなされないと、日本での生活に支障があるため。(これは、全員、体験的に理解しているので、極めて納得していた。笑)

ところで、こんな設問もしてみた。ミャンマーのロヒンギャの人々をマレーシアは受け入れるべきか?当然ながら賛成者が多かったが、そこには、様々な問題があることを説明しておく。住居や食料、日用品の用意。マレー語や英語の学習の必要性。雇用の確保。これらをどうクリアしていくのか?かなり政策学に近い話になる。どこに受け入れ先をつくるのか?その費用は?言語の学習指導者の育成はできているのか?難民の雇用と外国人労働者の労働市場のバランスは?問いかけていくと、うーんと皆かをが曇る。これらの実施計画と予算の創出、その上での受け入いれ人数の確定…。まさに、政策学であり、日本でこのような精緻な政策学を学ぶ意義を伝える。

マレー系の国費生は、おそらく日本から帰国して公務員になる可能性が高い。テクノクラートとして政策立案にかかわる者も出るだろうと思う。難民問題も極めて重要な課題である。そんな授業を今日はしていたのだった。

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