2019年7月19日金曜日

PBTの話(48) 参院選特定枠

alltag.hatenablog.jp/entry/2015/0
7/upper-house-election-to-reform
政治分野で、日本の選挙制度について講じていなかったので、今日Dクラスで講じた。日本の政治史を語ったうえで、中選挙区制から小選挙区制になった衆議院の選挙制度が中心だが、参議院の選挙制度も併せて講じることになる。

昨年参議院の選挙制度が若干変わった。参議院の選挙区で、法の下の平等を守るため、島根と鳥取、高知と徳島の4件で合区が行われた。参議院の選挙区は都道府県単位なのだが、この4県だけは別となったわけだ。ところが、ここで自民党は参議院候補を合区ごとに1人に絞り、選挙区で戦えなくなった候補2人を比例区の第一位・第二位とする特定枠をつくり、この比例区(参議院は、個人名か政党名で投票し、政党ごとのドント方式で当選が決まるが、個人名が多い順で当選となる)のシステムを変更した。この特定枠に私が気づいたのは、他党の第一位の話がニュースに載っていたからで、偶然に近い。ちょうど、選挙制度を教える直前に知ったのだった。あぶない、あぶない。(笑)

さて、東洋経済のWEBページに、この特定枠について薬師寺・東洋大学教授の小論が載っていて、実に面白かった。
https://toyokeizai.net/articles/-/292607

たしかに、参議院議員より衆議院議員の方が格上であるという認識が政治家の世界にあると思う。衆議院議員の中でも、選挙区で選ばれし者>比例区で選ばれし者>選挙区で敗れたが比例区で復活当選した者、というヒエラルキーがある。参議院でも、選挙区>比例区というヒエラルキーがあるらしいが、この特定枠で選ばれた議員は、さらにその下に位置することになるだろうとしている。実際彼らは、合区された選挙区の応援に入り、苦労しているが、有権者から忘れられた存在になるかもしれない。この論では、前述のヒエラルキーの存在を実証しながら、この特定枠議員という存在の悲哀を論証している。もし、合区がさらに進めば、このような議員が増えることになり、いつかそれは正しいのか?という論議に発展するだろうというのが結論。

なるほど。なんとなく、この特定枠は付け焼刃的な措置であることがわかる。すっきりと合区で自民どうしで戦うのもよしと思わせる面がある。と同時に、やはり各県最低1名は議員を送るべきではないかというアメリカ上院的な発想も理解できる。なかなか難しい問題である。…その参議院選挙は目前に迫っている。

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