2019年7月10日水曜日
PBTの話(43) 南北ゲーム′19
これまで、南北貿易ゲームは100回くらいやってきたような気がする。PBTでも毎年やっているのだが、中華系の学生は、資本主義のルールに乗っ取ってガンガン進めていくのだが、マレー系の国費生は、優しすぎて淡々と進んでいくことが多い。それで、今回は、先進国にはステグリッツの言う経済人として相応しい戦略を立てれそうなメンバーを選んだ。D・Eクラスとも18人になので、3人チームで先進国2、中進国1、途上国3の割合でやってみた。
まずDクラス。私の思惑どおり、先進国のA君は、途上国を安価に雇用しつつ生産性を極度に高める戦略をとってくれた。40人規模でやる以上に商品が世界巨大銀行に持ち込まれ、私と手伝ってもらったK先生は大忙しであった。ふりかえりも、なかなか盛り上がって、南北問題を理解するうえで、理想的な展開で南北貿易ゲームを終えることができた。
次にEクラス。ゲームが始まっても、途上国と中進国が集まり、Aさんを中心に、なにやら相談が続いている。先進国は完全に手持無沙汰で、自ら円形や三角形をコツコツつくるという異様な展開だった。実はこの時、途上国連合軍は、資源ナショナリズム戦略をとっていたようで、中進国のもつ定規と途上国の持つ鉛筆で密かに四角形だけを大量につくれる体制(線だけ引いて、あとは切るだけ)をとっていたようだ。問題は先進国だけが持つはさみである。中盤になって、先進国と交渉が始まったが、先進国は、Iさんの強い指示で、ついぞ、はさみを渡さなかった。結局、資源ナショナリズムと構造的暴力の戦いは、構造的暴力の勝利に終わったのだった。これまた、ある意味で理想的な展開かもしれない。
今回のMVPは、D組のA君と、E組のIさんに決定。準MVPは、E組の資源ナショナリズムを組織したAさんとしたい。
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