2019年2月16日土曜日

佐藤優 サバイバル宗教論6

救世主ハリトリス大聖堂 https://blog.goo.ne.jp/yamansi-satoyama/e/5030e4a5db141c9559e8608e66326399
先日、佐藤優氏の「サバイバル宗教論」を読み終えた。備忘録として、記しておきたいことがまだかなり残っている。まずは第3講「宗教から民族が見える」から。

ソ連が崩壊したプロセスの話である。この中心となったのは、やはり知識人(インテリゲンチア)で、フーコーやデリダの本を読んでポストモダニズムの先例を受けていた。しかし、16世紀の自由・平等・合理性などの啓蒙思想で20世紀のソ連を壊した。一方、バルト三国、アルメニア、グルジア(現グルジア)、アゼルバイジャンなどは、民族の権利・名誉と尊厳などのナショナリズムを使ってソ連体制を壊した。結局、ロシアになった後、ロシア民族の復興という運動が盛り上がり、今のプーチンに繋がっているといえる。

そのプーチンが大統領就任式で、あえて、クレムリンにある救世主ハリトリス大聖堂の横を通った。この教会はロシア革命時に、皇帝の菩提寺であった故に破壊され、その後に共産主義の摩天楼を建てる予定だったのだが、地盤の問題で白紙撤回され、結局温水プールが作られたらしい。(人が消えるとかいう様々な伝説が残っている)エリツィン大統領の時代、プールをつぶして前と同じ教会をつくったのだという。就任式には、国内のあらゆる宗教、すなわちロシア正教、プロテスタント、ユダヤ教、イスラム教、仏教の代表者に迎えられ、祝福され、神(や仏)の力をもらった特別な人になるという演出がされた。

ロシア正教の分離派について。17世紀後半にロシア正教で教会改革が起こる。この時、分離したのが「分離派」。その違いは、それまで十字を切る時、(横に)二本切っていたのだが、ビザンチン方式では三本なのでこれにあわせることになった。これに反発し、二本に固執したのが分離(ラスコール)派である。ドストエフスキーの『罪と罰』に出てくる主人公『ラスコーリニコフ』は、この分離派に引っかけた名前なのである。…面白い。しかも、この分離派の人々が、西側のプロテスタントのようにロシアの資本主義化を進展させている。
ロシア革命で、その分離派の財閥の1人が神戸に逃げてきた。これが(お菓子で有名な)『モロゾフ』なのである。…面白い。ちなみに調べてみると、バレンタインチョコを日本で最初に販売したのは、モロゾフらしい。さすが、分離派というべきか。

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