2019年2月4日月曜日

INF条約の破棄問題について

https://www.boredpanda.com
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EJU(日本留学試験)のための総合科目でも、INF(中射程および短射程ミサイルを破棄するアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦の間の条約)について教える。中射程の弾道ミサイル・巡航ミサイルを破棄する目的で結ばれ、実際にかなりの数のミサイルが破棄され、互いの軍の査察も認められたもので、数ある軍縮条約の中でも意義のあるものだった。

その条約が米国大統領閣下の決断で、2月1日破棄された。これに呼応してロシアのプーチン大統領も条約に定める義務の履行停止を2日に宣言した。このままいくと8月1日にこの条約は失効することになる。米国の主張では、ロシアが新型ミサイルを開発している疑惑があり、条約違反を犯している可能性があること、また米露二国間のINF条約にしばられない中国などのミサイル開発への懸念などが理由だという。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40836530S9A200C1MM8000/

米国の国益上、INFは必要がなくなったということなのだろう。この影響を最も受けるのは、ロシアと直接対峙するヨーロッパ諸国であると考えられる。INFの中・短射程ミサイルは、ヨーロッパでの対峙状況が念頭にあるからだ。米ソ冷戦の終焉にあたって、INFは大きな軍縮の流れを構築した。この先人の努力がまたひとつ崩れていくわけだ。

INFのくびきを解かれた大陸国家であるロシアは、新型ミサイルを、ウクライナや西ヨーロッパに向けて配置する可能性が高い。米国のこの決定は、米国軍事産業には朗報であろう。ヨーロッパ諸国は対抗措置(迎撃システム)を新たに購入するはめになりそうだし、(米国大統領の恫喝で)NATOの軍事費をさらに多く拠出する必要性に迫られるだろう。ちなみに米国の巡航ミサイルは、INFでは地上発射のもののみ廃棄されている。即ち戦略空軍や海軍のものはINFから除外されている。一方、中国への対抗上という意味合いは大きい。INFは米露の二国間条約で、中国はこれに全く縛られないからである。

こうしてみると、米国大統領閣下の判断は、米国の国益岳を見れば妥当な事のように見えるが、閣下は1日の60%をエグゼティブ・タイム(何も予定のない時間)としているようである。納税者たる米国国民は、こういう短絡的な決定を許していいのかと思う。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/02/post-11640.php

…それにつけても、WWⅡ以降、近代国民国家から世界は脱皮し、自由貿易を主体に脱近代国家の道を歩んだように見えた(EU統合など、地域間連携をさす)が、またまた近代国家というより、プレモダン(近代国家以前の中世的国家)にさえ戻ったように見える。政治家の能力低下…。まさに民主主義政治の危機でもある。

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