山塞企業の模造品スマホと本物 https://chinese-homepage.com/modules/d3blog/details.php?bid=189 |
アメリカの大統領閣下の対中国貿易戦争のきっかけは、先端IT技術の模造品への危機感である。山塞企業を野放しにする中国はけしからんというわけである。先進国が進めるグローバル経済にとって、これは当然ながら正義であろう。この本は、下からのグローバル化をタンザニアの都市零細商人の目と、中国の模造品市場から解き明かしている。
資本主義の発展は、脱テリトリー化(資本および労働が土地との結びつきを失い、商業取引という別の空間に持ち込まれること)と、国家によるテリトリー化と商業取引の規格化(商取引の正当性を裏付けるための規格・基準の策定、特定の商法を事実上排除するための規格・基準の策定)という2つの弁証法的な動きにより生じた。(引用されているこの文章は、ドゥルーズとガタリの議論を参考にしているらしい。)
こうしたフォーマルなシステムから押し流された、似て非なる領域がインフォーマルな領域であり、その日暮らしと海賊的な領域が潜んでいる。(P203~204)
…ドゥルーズ・ガタリの哲学における脱コード化は、見事な預言だったわけだ。アメリカ大統領閣下には、おそらく理解不可能な論議ではなかろうか。閣下の主張する正義は、構造的暴力を伴う。即ち圧倒的な経済格差が、途上国には存在する。しかし彼らは、インフォーマルな領域で模造品を手に入れることが可能になった。模造品であるとはいえ、スマホの機能を安い価格で享受できている。このことを悪であると決めつけることには、議論があるだろう。
…開発経済学が、このインフォーマルな領域を認めるか否かは、私にはわからない。ジェネリックの薬品が国際的に認められたこととは、開発された時差などの状況は異なる。(ジェレリック薬品は開発から時間が経ち、開発者は十分な利益を得た後で認められたが、スマホは、即座に模倣される。)かなり分が悪いことはたしかだ。
…このグローバル資本主義経済の脱コード化、インフォーマルな資本主義をどう理解すればいいのか、先進国の構造的暴力を伴う「正義」から切り捨てるのはたやすいが、論議するに値する重大事であると私は思う。
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