アダムとイブの楽園追放後Ⅱ

https://mythpedia.jp/christianity/mp_adam_and_eve.html#google_vignette

学院の3年生の授業が終わったので、必然的に通勤時の読書時間が無くなった。やはり読書は通勤時間が最も適しているのだが、コツコツと「聖書物語　男と女その後どうなった」（小坂井澄著／講談社＋α新書）を読んでの書評を記しておきたい。

エデンの園を追い出された2人は、七日間嘆き悲しんだ。住居となる小屋は建てたが、何も食べれないくらい悲しみが深かった。その後ようやく飢えを感じた２人は食べ物を探しに出かけたが、動物が食べるようなものばかりで、エデンの園では天使の食べ物だったことに気づく。そこで、アダムは悔い改めるために断食することを決める。イブには37日間、チグリス川まで行き、深い川底に石を置き、その上に立って首まで水に浸かることを訴える。アダム自身は、40日間同じようにヨルダン川に浸かると言う。その間、神様に対して一言も言葉を発してはいけない、なぜなら禁断の身を食べた故に、我々の口は汚れているからだとも言い、ひたすら神の慈悲を待つことにした。

アダムの悔い改めは、ヨルダン川の早い流れが止まり、魚が周囲に集まり、やさしく包んでくれたのだが、イブには、悪魔（画像参照）が光の天使に姿を変え、一緒にに涙を流し、優しい言葉をかけ、また騙すのである。そして、ヨルダン川のアダムのもとへ連れて行く。アダムは、悪魔の姿を見破り、イブも悪魔と分かり強く罵る。悪魔は、人間が神の姿にしたがって創造され、大天使ミカエルが、人間を拝むように命じたのだが、それを拒否した堕天使であった。アダムが、神に救いを求めると、悪魔の姿は消え去った。アダムはその後もヨルダン川から出ることはなく悔い改めを続けた。イブは何もかも悪いのは自分であると述べ、嗚咽しながら西へ向かう。西の果てで小屋を建てたが、すでに3か月の身重になっていた。神通時に神に祈り、天の星にアダムに自分のことを伝えてもらい、やがて心が通じ合い、アダムはイブのために祈りをささげた。神はその祈りを聞き入れ、生まれたのが、最初の殺人事件を起こすカインとアベルである。

…現代から見ると、どうも女性に不利な物語になっている気が強くする。なにより気になったのは、ヨルダン川とチグリス川の距離間である。ヨルダン川とユーフラテス川の方がまだ近距離にあるが、それでも無茶苦茶遠い。まあ、目くじらを立てる話ではないと思うが…。

https://one-
piece.com/
character/Lilith
/index.html

…さて、いろいろ調べてみると、アダムは再婚だという説がある。中世では、「ベン・シラのアルファベット」という書によって、リリスがアダムの最初の妻であるとされている。このリリスはアッカド神話やシュメール神話の影響を受け、旧約のイザヤ書・タルムードなどにも言及がある。男児を害する悪霊らしい。

…創世記で、神が男と女に象って創造したという記述と、アダムの肋骨からイブを創造したという記述の矛盾を解消しようとしたところから生まれた話であるようだ。ところで、ONE PIECEに、リリスという名のキャラクターが登場する。（右の画像参照）ベガバンクのサテライト（分身）の一人で、ベガバンクの「悪」を背負った女性キャラである。おそらく、このリリスから命名されたのだと思う。