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ダンテは、13世紀から14世紀にかけての人なので、神曲に描かれた地獄篇・煉獄篇・天国篇は、当時のカトリック的(煉獄の存在を伝えるのはカトリックのみ)宇宙観の一つだといえると思われる。
ダンテの神曲の宇宙観は、地球が陸の半球と水の半球に分かれており、エルサレムがその中心で、キリストの十字架を目印にして、その地下に地獄があることになっている。
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以前にも神曲について記したことがあるが、地獄の門をくぐると、辺獄=リンボ(ホメロスなどのキリスト教に接することがなかった以前の者や洗礼を受けずに亡くなった幼児の存在するところ)がある。調べてみると、カトリックでは、この洗礼を受けずに亡くなった幼児の救済について、アウグスティヌスの時代からトマス・アクィナスを経て、現代まで議論されてきたが、教義ではなく神学上の仮説・意見として存在しているにすぎないらしい。その下がいわゆる地獄で5つの圏をなしている。地球の中心部が最下層で、井戸があり水半休の中心部に出る。さらに進むとエレサレムとちょうど反対側に海から突き出るように山がそびえている。それが7層になった煉獄である。(右の画像はダリの描いた煉獄である。)
煉獄の頂上の平たい部分が地上の楽園であり、その上に、天国が広がっている。プトレマイオスの天動説にしたがって、同心円状に遊星となっている月天、水星天、金星天、太陽天(聖トマス・アクィナスやソロモン王がいる。)、火星天、木星天、土星天、恒星天(聖ペテロ・聖ヨハネ・聖ヤコブやアダムがいる。)、万物を動かす根源の原動天(セラフィムなどの9人の天使がいる。)、神が坐す至高天(聖マリアがいる。また聖ヨハネ、聖アウグスティヌスがいる。)にいたる10層に分かれている。
まあ、神曲という文学上の話ではあるが、興味深いと私は思う。ダンテにとって、トマス・アクィナスより、アウグスティヌスの方が上であり、ペテロより、ヨハネの方が上で、行きたまま天国(第三天=金星天?)に引き上げられたとされるパウロ(コリント人への手紙2-12)は、ダンテの愛したベアトリーチェ(至高天までの案内者でもある)の同伴者として描かれているそうである。私は天国篇は未読なのでいずれ確認したいと思う。
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