2020年1月29日水曜日

新中東和平案の裏側

ヨルダン川西域のベツレヘムにある壁アート
ワシントンD.C.で、イスラエルのネタニヤフ首相と(「青と白連合」のガンツ党首も招かれている)米国大統領閣下が新中東和平案(=世紀の取引)を発表したというニュースが流れた。私が最も信用する『オリーブ山便り』の記事をもとにエントリーしておきたい。

この新中東和平案は、極めてイスラエル寄りのものである。①イスラエルはヨルダン渓谷を合併、西岸地区のユダヤ人入植地にイスラエルの法律を適応。⓶イェルサレムの一部(壁の外側)を首都とし、非武装のパレスチナ国家を設立する。これらは、ネタニヤフ首相の訴えてきたことで、イスラエル国会で汚職問題の決議が行われる日を選んで招待している。もちろん、大統領閣下も下院で弾劾問題の最中であり、腑に落ちないものを感じる。

もちろん、これらの新中東和平案は、各方面から批判・拒否されている。パレスチナ自治政府のアッバス議長には「1000回でもノーと言う」と完全拒否され、ガザ地区のハマスは当然拒否。それどころか風船爆弾を飛ばし、またイスラエル軍から空爆を受けている。ヨルダン国王も、ヨルダン渓谷を合併する事を受け入れられないと和平案を否定。国連事務総長からも「第三次中東戦争以前の国境線を支持する。」と批判されている。ISはイスラエルとユダヤ人入植地へのテロを呼び掛けた。一方、サウジなどのアラブ諸国は近年イスラエル寄りになっており、現時点では明確な反応していない。ともかくも、この新和平案は成功するわけがないのだが、なぜこんな発表をしたのか?

ネタニヤフ首相を汚職問題の起訴から救いだし、リクードの総選挙を有利に進めること。さらに大統領閣下にとっては、ユダヤ系米国人や福音派(=キリスト教原理主義:ユダヤ人にイエスを救世主であることを認めさせることを至上目的とする人々で、イスラエルをつぶすわけにはいかないと考えている。)の支持を固めるという意味合いがある。要するに両者に有利な政治パフォーマンスに過ぎないわけだ。腑に落ちないのも当然なのだ。
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ところで、アウシュビッツ強制収容所の解放記念日にあたる23日には、第5回ホロコーストフォーラムが、ヤド・バシェム(イェルサレムにあるホロコースト博物館:私も行ったことがある。)で行われ、49か国の首脳が参加した。プーチン露大統領やペンス米副大統領、ステンマイヤー独大統領等の演説内容も、「オリーブ山便り」に記されている。
…PBTの教え子諸君には、「現在のドイツ大統領は謝るのが仕事だよ。」と私が言ったことが証明されている。国際関係を専攻する諸君には、感想はどうあれ読んでみて欲しいと思う。
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