2019年6月24日月曜日

PBTの話(36) 日本経済史

EJU(日本留学試験)の総合科目の経済分野では、日本経済史が重視されている。特に戦後の経済史は出題頻度も高い。私としては、経済分野の最後にもってきている。なぜなら、これまでの学習の総復習となるからである。

今日は敗戦直後から高度経済成長まで、90分+45分で論じたのだが、こんな話をした。GHQの財閥解体と独占禁止法の制定。市場の失敗の独占・寡占で、JPモルガンやロックフェラーの歴史を話したのだが、財閥解体と独占禁止法は、ロックフェラーのスタンダードオイル解体とシャーマン法と対比できること。そして農地改革。(地理でやってない緑の革命の話もしておいた。)さらに労働三法(ちなみにマレーシアでは労働組合は認められていない。)。「これらの経済改革をアメリカ主導でまずやったのだが、何か気づかないか?」学生「…。」「では、当時のアメリカの大統領は、F・ルーズベルトの後を継いだトルーマンだが、共和党?民主党?」「リパブリカン」「デモクラッツ」と声が上がる。「感で答えてるな…。アメリカの大統領選挙で教えた共和党と民主党のポリシーを思い出してごらん。」「自由と平等です。」「では、どちら?」「平等のポリシーの民主党です。」「この政策は、社会主義だ。」「そうだ、そうだ。」

そう、GHQの民生局のニューディーラーたちは、民主党で社会主義的な政策を最初に日本に行ったわけだ。ここから、アダム=スミス的な純粋な資本主義はすでになく、社会主義も資本主義を取り入れていることを教える。すでに、EJUのレベルを超えているのだが、こうして、これまでの学習を振り返りながらつなげていくことが、日本の大学で社会科学を学ぼうとする彼らには必要だと私は思うのだ。残念ながら、マレーシアの社会科学習は完全暗記型で、彼らにはこういう学びが極めて新鮮らしい。

これからのマレーシアを背負う人材に成長してほしいので、この辺は妥協なしで、時間の許す限り、引っ張っていくつもりだ。

ちなみに今日の画像は、大森実の「戦後秘史」。ノンフィクションの名著だと思う。昔、全巻読破した。今日の内容は、この時の読書が生きている。

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