2019年6月9日日曜日

環境考古学の新書を読む。2

https://www.realmofhistory.com/2017/03/20/listen-epic-gilgamesh-ancient-sumerian/
「森を守る文明 支配する文明」のエントリーのつづきである。本書では、日本で森を守ったと著者が絶賛する最長と空海の話になるが、これは割愛。さらに地中海世界の森林破壊の歴史的かつ科学的考察になる。なんといってもレバノン杉の話である。

有名なギルガメッシュ叙事詩は、森林破壊の話で、都市や神殿を作り青銅器の鋳造や土器を焼くために材木が必要で、ギルガメッシュ王は森の神フンババが守る森に出かける。あまりの美しさに立ち尽くすものの、町のため人間の幸福のために木を伐採する。怒ったフンババは口から炎を吹き、ギルガメッシュに襲いかかるが従者のエンキムドゥにやられてしまう。森の神が殺されたことを知った最高神エンリルは、「大地を炎に変え食物を火で焼き尽くす」と激怒する。砂漠化を意味するこの言葉は、後に現実になるわけだ。

さて、その続きは、大地母神イシュタルがギルガメッシュに恋心を抱くが断られる。これに怒ったイシュタルは、天空神アヌに天牛をギルガメッシュの都市国家ウルクに送る。鼻息で100人の男たちが入るような穴をつくる天牛だったが、穴に落ちたエンキムドゥは、その尾をひっぱり、ギルガメッシュが刺殺したという。

このメソポタミアから地中海世界で、牡牛は力の象徴であり信仰対象であった。ギリシア神話の迷宮の怪物ミノタウロスの話は有名であるが、ミノア文明もミケーネ文明も森林破壊が原因で衰退していく。それとともに牛への信仰もすたれていく。今やこれらの地域で牛が草をはむ場はなく、忘れ去られて当然かも知れない。ただスペインだけが闘牛というカタチでこれを護っているのかもしれぬと著者は嘆いている。なるほど…。

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