2019年6月14日金曜日

PBTの話(31) 義

武士道を語る際に、最も重要な徳目は私は「義」であると思う。よく「武士に二言なし」などと言うが、責任と信用を重んじる武士にとっては、極めて重要な徳目であると思うのだ。新渡戸稲造の『武士道』でも、義は武士道の光り輝く最高の支柱と表現されている。(勇、仁、礼、誠、名誉、忠義などの項目の中で最初に論じられている。)

実は、今日は急に所用ができて、1時間目の授業をした後、早退しなければならなかった。(有休は全日分取っておいた。)ふと朝、思い出した。今日が締め切りの宿題を出してあったのだ。経済分野の第1回目の宿題で、この土日はEJUもある。解答をしたうえで返したかったので、今日提出にしてあったのだ。1時間目の授業が終わって、急いで添削をした。掲示用の解答もいつもは掲示しないのだが、質問があっても対応できないので、登校してすぐに作成した。日直の学生にお願いして、クラスの宿題を返してもらう手筈も整えだ。授業の後、約25分間、集中して添削し、12時の約束を念頭に急いでPBTを後にした。

ただ単に、早退するのに、そういう手をうった、ということだけではない。新渡戸の言う『無条件な絶対命令』なのだ。やらなければならないことをやる、という事は実は大変だし、勇気と繋がる。

新渡戸は『勇は義の相手にて裁断の言也。道理に任せて決定して猶予せざる心をいふ也。死すべき場にて死し、討つべき場にて討つ事也。』と言う林子平の言を引用している。この齢になって、その意味するところが少しわかるようになってきた。マレーシアの学生に、私自身の行動を通じて、日本の武士道を少しでも伝えたいなと思う。

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