2025年5月23日金曜日

イスラームからお金を考えるⅤ

http://www2.dokidoki.ne.jp/islam/quran/quran002-5.htm
久しぶりに「イスラームからお金を考える」の書評。随分と間があいたのは、この本の基軸的主張についてあれこれ考えていたからである。その件はまた後述するとして、本日は、クルアーンを中心に据えていこうと思う。

第2章「雌牛」第275節に「アッラ-   は金儲けをお許しになっている。」とある。この世で金儲けをすることが天国に行ける可能性を高めると捉えられている。さすが商人の宗教と言われる所以である。マルコの福音書に「金持ちが天国に行くよりも、ラクダが針の穴を通る方がまだ簡単である。」という記述があるが、180度違う。ただ、イスラーム的な正しい3つの金儲けの方法がある。1つ目は利子の禁止、2つ目はギャンブルの禁止、3つ目は喜捨の義務である。

第2章275章の続きには、「アッラーは金儲けをお許しになっているが、利子は禁じられた。」また第3章「イムラーン家」130節には「信仰する者たちよ、倍にも何倍にもなる利子を貪ってはならない。」とあり、利子自体も支払期日が過ぎた時の延滞利息も禁止されている。第2章275章の別の箇所には「利子を取る者は、悪魔に取り憑かれた者がようやく起き上がるようにしか起き上がることができない。」という警告があり、第4章「婦人」第161節にも「禁じられた利子を取り、不正に他人の財産を貪った者には、痛ましい懲罰を準備している。」第30章「ビザンチン」39節には、「利子を付けて人にお金を貸しても、アッラーのもとでは(天国に行ける可能性は)何も増えない。」第2章第276節には「人々が利子を付けてお金を貸した時には、アッラーはその恩恵を消し去る。(=最後の審判で地獄行きになってしまう。)」ともある。

イスラームの利子禁止について著者は、不労所得を嫌う故としている。また利子の存在が経済格差を生み、7世紀のメッカでは利子による経済格差が深刻な社会問題化になっていたので、経済の潤滑油的な側面を認めつつも、社会の安定を最優先させたといえるらしい。

ちなみに、イスラーム的な正しい3つの金儲けの方法・2つ目のギャンブルの禁止については、運不運によって結果が変わってしまう故で、先物取引や保険も同様。イスラームは全てをアッラーに委ねる故、アッラーにしかわからない未来の出来事を金儲けのネタにすることは、アッラーによって創造されたこの世界のあり方を人間が自由に変えることができるという人間の奢りに対する警告だといえる。

喜捨については、体験的に前述したが、第9章「悔悟」第60節に「喜捨は、貧者、困窮者、喜捨を管理する者、イスラームに改宗した者、奴隷解放のため、負債を抱えている者、アッラーの道のために努力する者、旅人のためのものである。」とあり、アッラーを介して人から人へお金を受け渡す役割・再分配の役割を喜捨が支えているといえる。…つづく。

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