2025年5月15日木曜日

世界奇景探索百科

学院の図書館で、「世界奇景探索百科 ヨーロッパ・アジア・アフリカ編」(原書房)を借りてきた。昨日の47都道府県オブジェつながりではあるのだけれど、オブジェというには、オドロオドロしたものもたくさんあって、たしかに奇景の連続である。地誌を教える上で参考になればと思うのだが、授業ネタにしにくいものも多い。

https://ageofrevolution.org/digitisation-of-
jeremy-benthams-papers-now-complete/
今回記しておきたいのは、イギリス編でユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにある「ベンサムの自己標本」である。功利主義の哲学者であるベンサムは、遺言で自分の遺体の取り扱いについて詳細な遺言(防腐処理、黒のスーツを着て、まっすぐ椅子に座り木製の棚の中に置くこと。またこの遺体を功利主義哲学者の定期会合に議長として出席させること。)を残した。しかしながら、防腐処理に問題が起き、頭部は悲惨な状態になった。そこで蝋で作ったレプリカを取り付け、本物の頭部は足元に置かれることになった。この頭部はイタズラ好きの学生より、誘拐され£100の身代金を慈善団体に支払えという要求が大学に要求された。大学は£10しか払えないと回答すると元に戻された。ひどいのはこの頭をサッカーボール代わりに使われたらしく、大学は考古学研究所の金庫に保管することになったという。これは倫理の教材となりうる話である。

…ベンサムはなぜ自分の遺体を標本として残そうとしたのだろう。快楽計算の結果であろうことは間違いない。思うに後継の定期会合に議長として出席し続けるという権威を最大の快楽だと考えたフシがある。そこまで権威に執着したいのかと思うし、だからこそ大学に£10の身代金の価値しかないと査定され、サッカーボール代わりにされたような気もするのだった。

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