2025年5月20日火曜日

バルト三国の相違点

https://tabizine.jp/2017/09/11/150725/
バルト三国は、ソ連崩壊直前、最も過激に離脱運動を展開して日本でも有名になったが、その共通点はともかく、相違点はあまり認識されていない。

共通点は、エストニア・ラトビア・リトアニアの三国ともEUにに加盟するユーロ圏であり、シェンゲン協定加盟国であり、NATO、OECDの加盟国である。これだけ見るとまさに三国と一括りにされてしまうのだが、言語や民族、歴史などはかなり違う。

高校の授業レベルで解説すると、まず言語はそれぞれ、エストニア語・ラトビア語・リトアニア語と違う。特に、エストニア語は、フィンランドと同じウラル語族に属する。民族的にもエストニアはフィンランドに近い。宗教的にも、フィンランドと同じルター派が多数派になっている。

次にリトアニアは、ポーランドとの結びつきが強くカトリックが多数派である。「世界奇景探索百科」にも載っている「十字架の丘」(画像参照)は、ソ連時代に何度か破壊されたが非暴力的抵抗の象徴として生き残り、ポーランド人教皇のヨハネ・パウロ2世の祝福を受け世界的に有名になった。この話は授業も挿入したいと考えている。とはいえ、リトアニアはそもそも非キリスト教国で、北方十字軍ドイツ騎士団との抗争が続き、耐えかねてポーランドと同盟を組みカトリックを受け入れた歴史がある。

https://ameblo.jp/toshi-atm-yamato/entry-12444314597.html
フィンランド的なエストニアと、ポーランド的なリトアニアに挟まれたラトビアは面白い。言語的・民族的には、バルト系なのでリトアニアに近いが、無宗教が多数派である。ラトビアも多くの支配を受けてきたが、キリスト教の受け入れ以前からラトビア神道(画像参照)と呼ばれる多神教があって、まさに日本の神道とよく似ている。無宗教が多数派というのは、日本同様の玉虫色の宗教観なのかもしれない。

…いずれにせよ、バルト三国を一括りで見るのは違うと思うし、生徒諸君への知的刺激として語りたいものだ。

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