2024年12月20日金曜日

人類史上最もやっかいな問題3

https://4travel.jp/travelogue/11652286
「イスラエルー人類史上最もやっかいな問題ー」(ダニエル・ソカッチ著/NHK出版)の書評第3回目。今回は、まずパレスチナ人の起源についてである。様々な論争や異論にさらされているのだが、一説によれば聖書時代のカナン人、ペリシテ人の直系というのがある。もし、カナン人であるとするならば、ユダヤ人より長くこの地に住んでいることになる。聖書によれば、ユダヤ人はカナン人を侵略・征服して、この地を得たことになっているからだ。最近の本格的な研究によれば、何世紀にもわたってパレスチナに移住してきた様々な民族や文明が混ざりあって生まれたのであり、その中には聖書の民族が含まれているというものである。と、なれば現代のパレスチナ人の一部はユダヤ人の子孫でもある。もちろん、時と共に最も支配的な宗教(土着の多神教、ユダヤ教、キリスト教、最後はイスラム教)を信じ、言語もヘブライ語、アラム語、最後はアラビア語を選んできた。この最後のイスラム教とアラビア語が、彼らをしてアラブ世界の一部とみなすようになったというわけだ。

ところで、19世紀後半のオスマン帝国支配下、パレスチナは開発の遅れた辺境地帯であって、大半は不在地主の土地で小作人として貧しく、識字率も低くかった。シオニストの移民が押し寄せた頃、パレスチナ人の人口は60万人ほどだった。この状況が変化を見せたのは、オスマン帝国の近代化政策で、パレスチナの無法地帯を取締り、道路や鉄道のインフラを整備し、農業生産も向上した。これはオスマン帝国全土で行われたものであるが、これが反対に帝国の衰退につながる。各地でナショナリズムが高揚したからである。ギリシア人、マケドニア人、ブルガール人、アルバニア人などが主であるが、パレスチナを含むアラブ世界も同様であった。パレスチナ人にとって、押し寄せてくるシオニスズム(ユダヤ人のナショナリズム)に対抗するため、自らのナショナリズムが高揚していくのである。

…上記のパレスチナ人の起源に関連して、遊牧民国家・ハザールのアシュケンジ起源説を調べてみた。支配層がユダヤ教に改宗したこと、ユダヤ系を受け入れたことは事実としても、アシュケナジの起源説(すなわち、血筋の起源はパレスチナにあるのではない説)は違うことがかなり明白である。

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