2016年12月21日水曜日

マレー・ジレンマ (1)

先日、現代アジアの肖像14「ラーマンとマハティール」(岩波書店/藤原宜之著/1996年2月5日発行)を読み終えた。日本に帰国した際にアマゾンで手に入れた中古本である。せっかくマレーシアに来たのだから、マレーシアの地理も歴史も文化も出来るだけ理解を深めたいと考えたわけである。

この本は、マレーシアのイギリス植民地時代から、マハティール第4代首相の治世までを概観したものである。すでに20年前の本だが、マレーシアの歴史に関しては、全くの白紙状態に近い私には絶好のテキストとなった。

4月当初、マレーシアの政治経済の現状については、在馬日本大使館の資料で急いで調べた。この時の学びは、その後の授業でも大いに役立った。マレーシアのことに無知な教員が、上から目線で日本の経済や政治を講じることの傲慢さを排することに役立ったと思う。この本では、その現状の前提となる歴史を掘り起こして学んだといっていい。この本についても何回かにわけて、備忘録的にエントリーするつもりである。

何より印象に残ったのは、タイトルが示す通り、「マレー・ジレンマ」という語彙である。これは、民族融和を優先した初代首相のラーマンに対して、次世代のリーダーとして頭角を現し、後に第4代首相となるマハティールが書いた本の題名である。1965年の「5月13日事件」(民族対立が表面化した事件。詳細は後述したい。)の原因について、何が間違っていたのかを問うたもので、マレー人の貧困の解消と経済構造の変革を目指すプ三プトラ政策の基盤となったものである。

この本の、いや現在のマレーシア理解にとっても核心といって過言ではない語彙である。書評をエントリーするに際して、じっくりと重要部分を読み返しながら再読していこうと考えている。

ところで、1月から理系の国費生の授業も入ってくる。私費生の国立大学対策とは異なり、時間数は8時間いただいた。彼らも社会科の授業はかなり久しぶりらしい。日本の大学で学ぶにあたって、教えたいことは多々あるが、マレーシアと比較しながら教えてみてはどうか、というアイデアが浮かんだのである。この本を読みながら、植民地化されたマレーシアと植民地化を免れた日本、州のスルタンから国王を選んでもらい5年ごとに国家元首としながら議会制民主主義を行うマレーシアと、象徴天皇制のもと議会制民主主義を行う日本。イスラムを国教としつつ多文化共生を実現しているマレーシアと、良きにつけ悪きにつけ単一民族国家たる日本…。共通点と相違点を洗いながら、授業を展開しようかと考えたわけだ。年末にかけてスクールホリデーもあるし、教材研究の時間的余裕もある。

この土曜日、念願のマレーシア国立博物館の日本語ツアーに、妻と2人で参加申し込みをした。これも、1月からの教材研究の一環である。貪欲に吸収していきたいと思っている。

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