2016年12月30日金曜日

マレー・ジレンマ (9)

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現代アジアの肖像14「ラーマンとマハティーループミプトラの挑戦」(萩原宜之著/岩波書店)では、この後のマレーシアの政治について第二代首相ラザク、第三代首相フセイン、そして第四代首相マハティール、と詳細に述べてある。ラザクもフセインも健康上の理由でそんなに長く勤めたわけではない。ラザク時代は、マハティールを復活させ、プミプトラ政策を基軸としてマレーシアの近代化をはかるとともに、さらに与党体制(与党連合:BN)を強化した。フセイン時代もその流れを継承し、マハティールに政権をバトンタッチした。故に、本のタイトルにあるように、独立の父・ラーマンと、プミプトラ政策を打ち出したマハティールが、マレーシア政治史の中では特に重要な存在だといえるわけだ。

この本が書かれたのは1995年。マハティール首相がまだまだ現役の頃である。この後アジア通貨危機が起こり、マレーシアもその波をかぶる。だが、当然、この本には書かれていない。ならば、マハティール首相の理念だけは昨日のエントリーできちっと記したので、この本の書評としてはここまでとするほうが美しいと私は思う。

ラザク首相以来のマレーシアの政治課題は、まさにマハティールの言う「マレー・ジレンマ」をいかに解決しながら近代国民国家化するか、というものであった。華人やインド系、さらにマレー系の内部にあるイスラム主義と向かい合いながら進んできたといっても過言ではない。マハティール以後は、イスラムの色が強くなった感がある。この件は後日、「国家と対峙するイスラーム」の完読後、よく吟味したうえでエントリーしたい。

さて、マハティール首相は、2003年10月に、第5代アブドゥラ首相に譲っている。さらに2009年に現ナジブ政権にバトンタッチされている。この首相交代劇が、なかなか意外性に富んでいたりする。そもそもUMNOを最初にリードした、ダト・オン氏の長男が、第三代首相のフセイン氏である。また第二代ラザク首相の長男が、現ナジブ首相である。政治家の世襲というのは、全世界的なものなんだと思う次第。二世政治家が悪いわけではないが、日本しかり、アメリカしかり、韓国しかり、ミャンマーしかり…。これは、政治という世界の「世襲ジレンマ」というところか、と思う。

…今日は、本年最後の勤務日であった。教材研究のために4月に一度見せていただいたマレーシアハンドブックをもう一度借していただこうと思い、社長室に行ったら2017年度版が配布されていた。マレーシアの日本人商工会議所がJETRO、JICA、日本大使館などの在馬の日本のインテリジェンスと分析力の総力を挙げてつくられた資料である。この正月休み(といっても3日には、出勤だけれど…。)にじっくり読んでみたいと思っている。マレーシア…。実に興味深い国なのだ。

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