2013年8月26日月曜日

「腰ぬけ愛国談義」を読む。

半藤一利氏と宮崎駿氏の対談、「腰ぬけ愛国談義」(文春ジブリ文庫/本年8月10日第1刷)を読んだ。半藤氏は明治から昭和史の著作がたくさんあってなじみの作家である。今、上映中の「風立ちぬ」を半藤氏が見る前、見た後と二部に分かれているのだが、話はあちこちに飛ぶ。そこがまた魅力である。今日は気になった部分をいくつかセレクトしておきたい。

半藤:この国は守れない国なんです。(中略)なにしろ海岸線が長い。(中略)国民のほとんどが海岸沿いの平地に暮らしている。(中略)ならばこそ、この国を守るためには攻撃だ、ということになったんですね。この国では「攻撃こそ最大の防御」という言葉がずいぶん長い間支配的でした。(この考え方は)「自衛」という名の侵略主義に結びつくんですよ。近代日本の最大の悩みは、まずそれがあったと思います。(中略)そして、戦争に負けてからこっち、何十年ものあいだにこの長い海岸線に沿って原発をどんどんおっ建てた。
宮崎:なにしろ福島第一原発ふくめて五十四基もあるんですから、もうどうにもなりません。
半藤:そのうちのどこかに一発か二発攻撃されるだけで放射能でおしまいなんです。この国は。今だって武力による国防なんてどだい無理なんです。
宮崎:膨張する中国を横に見て、その大陸とこの原発だらけの列島をどう共存させるのかという戦略的な視点が必要なのに、ちっぽけな岩礁一つを巡ってチョッカイを出し合っている様子はというのは、まことにバカげていますね。(P67~69)

半藤:安っぽい民族主義は国を誤らせるもとです。
宮崎:問題はこれからですね。東アジアの情勢が世界の情勢を大きく左右すると思います。中国の動向というのは世界の運命ですよね。(P71)

半藤:いずれにしても日本が、この先、世界史の主役に立つことはないんですよ。
宮崎:ないですね。ないと思います。
半藤:またそんな気を起こしちゃならんのです。日本は脇役でいいんです。小国主義でいいんです。(P77)

うーん、いくつかセレクトと書いたが、タイトルにかぶる最初の方のところだけで、こんな量になってしまった。また続きをいつかエントリーしようと思う。航空機の話が後半だいぶ出てくるし…。(笑)

0 件のコメント:

コメントを投稿