2011年8月25日木曜日

ヘルメノフの言葉 3

昨日から授業が始まっていたのだが私の授業はなかったので、今日が私の2学期初授業になった。元気な5組は私のお気に入りのクラスだ。しかし1学期末には授業が全くなかった。新鮮な気持ちで、ギリシア・ローマをやる。最初の授業は、クレタ文明とミケーネ文明である。受験だけを考えて、さらっと流せば5分で終わりだが、私はここで生徒の属性を掘り起こしていきたいと考えている。

クレタ文明では、ミノタウロス伝説が有名だ。ちょっと授業としてはHな話なので、やりにくいけど、RPGゲームのファンもいるのでふれておく。クレタ島の王、ミノスは、ポセイドンの力をかりて王位に就く。この時、牡牛を捧げる約束をするのだが、惜しくなって約束を守らなかった。怒ったポセイドンは、王妃に呪いをかける。牡牛に惚れてしまうという呪いだ。おかしくなった王妃は牝牛の模型をつくって中に入り、牡牛と交わるわけだ。(元気な5組では、男子も女子もゲゲゲ!とうけた。)そして生まれたのがミノタウロス。絵を書くと、おおっ!と声が上がり、「武器は?」と聞くと、「斧です!」という声がかかる。もろ刃の斧。「見たことある!」などという声があがる。こうして属性を確認させるのである。

ミケーネ文明では、トロイ戦争の話が面白い。まずは、何故トロイ戦争が起こったか?ギリシアの王様とテティスという女神が結婚し、披露宴が行われる。神々とギリシアの主だった王様が集まって披露宴は大賑わい。だが、呼ばれなかった女神がいた。嫉妬と争いの神エリス。(嫉妬と争いはおよびじゃない)彼女は怒って、黄金のリンゴを会場に投げ込む。そこにはこう書いてあった。『最も美しい女神へ』それは私のことだと3人の女神が大喧嘩を始める。ゼウスの妻で、支配を司るヘラ。戦いの女神アテナ。そして美の女神、アフロディーテ。ゼウスは、びびって、その裁定をパリスという羊飼いに命ずる。(この辺がギリシア神話の人間臭さである。)3人の女神は、パリスを買収しょうとする。ヘラは、「世界の支配者にしてあげる。」アテナは「あらゆる戦いで勝てるようにしてあげる。」アフロディーテは「世界で最も美しい妻をあげる。」…権力か、強さか、美か。(ギリシアの人生観が見えて面白い。)結局、パリスは美をとる。このパリス、実はトロイの王子。アフロディーテが与えたというより奪わせた最高の美女はスパルタ王の妃ヘレネー。怒ったスパルタ王はギリシア全軍とともに攻め込むことになる。これがトロイ戦争のはじまり。5組の生徒には、なかなかうけた。男子に聞くと、「俺やったら権力やなあ。」などと意見が出るのが楽しい。こういう授業が私は好きだ。そこに属性が生まれる。余談で、アキレス腱の話もする。不死の泉に赤子の時つけられたアキレウス。しかし足首を握られていたので、そこだけは弱点だったという話。これもなかなかうけた。そしてトロイの木馬の話に…。ほとんど、1時間こんな話で終わったが、ギリシア・ローマの枕話としてはなかなかいい。

阿部次郎の『三太郎の日記』の冒頭、ヘルメノフの言葉の3に、次のようにある。『自分にとって興味ある対話の題目はただ自己と自己に属するものとである。しかしこの題目は他人にとって死ぬほど退屈なものであろう。』
…生徒の属性と授業を結び付けること。生徒の属性を掘り起こすこと。そして生徒の属性を広げること。『属性』は、社会科の授業にとって最も重要なコトだと私は考えている。

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