2011年8月27日土曜日

キャシャーン型と美空びばり型

「ナガオカ」のHPより
昨夜、NHKでヒューマンドキュメンタリーを見ていた。「ナガオカ」という企業の就職内定までの密着ルポであった。私が驚いたのは、この大阪の中小企業が、浅い地下水を石油精製の技術を利用してくみ出すプラントや海水浄化プラントなどで、「水資源」の分野で国際協力の大きな技術力をもっていること、そして社長の国際協力とビジネスへの熱い思いであった。私は今、持続可能な開発のために、BOPが果たすだろう役割に大きな興味を持っている。水資源はこれからの世界にとって大きな問題である。そういう意味もあってこの組み合わせ、実に面白かった。ビジネスとして成立するBOPをどんどんやっていくべきだという社長の言に膝を打ったのだった。

ここに、就職希望の学生が面接にやってくる。ODAへの論争をもちかけたり、海外で実際に現地の水資源改良に動いていたり、なかなか面白い人材が集まっていた。彼らの面接での言にも、私は膝を打った。日本の未来も明るいな、と思ったのだ。

しかし大震災で、大企業の内定決定が遅れることになった。この企業では、あえて日程を崩さなかった。大企業も受験している希望者もいるだろうが、自社の実績に自信をもっていること、反応が良かったことなどである。だが、結局8人の内定予定者が5人になって、しまったのだった。これには、正直、大いに失望した。

私は、自分自身、教員になること以外考えたこともなかった。極めて単純な思考故に、当然この”就職活動”をやったことがない。いくつもの会社を回り、第一志望だと言って面接を受けていくのだろう。収入や安定を念頭にいれるのは、極めて常識的である。自分の人生をかける企業を選ぶのだから、『想い』だけで完結できないのだろう。大企業と天秤にかけた時、いくら優秀な企業で国際的評価も高いといっても、「ナガオカ」は中小企業である。いい大学を出ていると、そういうプライドもあるだろうなあ、と理解しようと努めてみた。しかし、彼らの多くは、水資源や国際協力に学生時代かんできた、私が膝を叩いた学生たちだった。うーん。『君らがやらねば誰がやる』と人造人間キャシャーンみたいに叫んでしまったのだった。
*キャシャーンを御存じない方は、こちらを参照下さい。(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=kaT04uHXzGQ

以前、Yゼミナールという予備校の入試分析講習会に行ったことがある。前年度の入試方法(数学Ⅲまで範囲だったのが数学ⅡBまでになったとか、センターの点数配分が変わったとか)の変化が、微妙に入試に影響したことが、主な論点だった。「というわけで、A大の法学志望者がB大の経済に流れたと、我々は見ています。」などというレクチャーを受けたのだった。実は、私はこの時、大きなショックを受けた。法学と経済って、やる内容がかなり違う。入りやすさでコロコロ変えていいのか。そう思ったのだ。だが、現実に浪人の生徒と話していると、現実問題としてはどうしようもない。『それもまた人生』と今度は美空ひばりみたいに納得したりもした。

今日のブログの結論は特にない。キャシャーン型の私が、美空ひばり型の内定取り消し者を簡単に批判できないと思うからだ。とはいえ、残念やなあ。

2 件のコメント:

  1. こんにちわ♪(´ε` )
    とても魅力的な記事でした。
    また遊びにきます。
    ありがとうございます!!

    返信削除
  2. 履歴書の書き方の見本さん、コメントありがとうございます。私のブログではあまりない”結論のないエントリー”だったんで、コメントをいただけて嬉しく思います。

    返信削除