2011年8月19日金曜日

JICAとゲイツ財団の債務転換

MISAさんのブログから
毎日新聞の「金言」で、西川恵専門編集委員の『変容する途上国支援』というコラムが載っていた。なかなか興味深い内容だったので、ブログで紹介したいと思う。以下私なりの要約である。

パキスタンのポリオ撲滅のため、JICAの緒方理事長と、ビル・ゲイツ財団が、18日協力関係を結んだ。JICAがパキスタン政府に対して、ポリオ撲滅対策のため、49億9300万円の円借款供与しているものを、2013年までに成果(ワクチン接種率)を達成すれば、債務金額(上記の金額)をパキスタン政府に代わってゲイツ財団が出そうというものである。ローン・コンバージョン(債務転換)という方法で同財団が特定の国とこの種の協定を結ぶのは初めてだという。パキスタン政府としては、是非とも2013年までに達成し、何としても49億円を浮かせたいところだ。やる気を出さざるを得ない。
世界のポリオは99%撲滅されているが、パキスタンはまだ撲滅できていない4カ国の1つである。ゲイツ氏は「最後の1%はパキスタンがカギで、隣国アフガニスタンもパキスタンにかかっている。」「日本は自身が困難なのに、途上国に支援の手を差し伸べる。貴重なことだ。」と述べたという。
今回のJICAとゲイツ財団の協力の意義について、西川氏は『アクター(行動主体)の多様化は、アイデア次第で支援をよりダイナミックなものにする。』『援助する国とされる国という上下関係が「助け、助けられる」というフラットな関係に支援の概念は移行していくのではないか。』と述べている。

私の感想である。この債務転換というアイデア、素晴らしいと思う。何より、パキスタン政府がやる気を倍増させるだろうというところが素晴らしい。ガバナンスにとって良い影響があるだろう。JICAはそういうスキル面で、さらに協力してほしい。(おそらく間違いなく協力すると思うが…。)今、アメリカもEUも日本も、経済的にも政治的にもガタガタしている。そんな中で”民間”の力をこういうカタチで活かすというゲイツ財団の知恵もたいしたものだ。
一方、西川氏の主張の後半部で使われている「援助」や「支援」というコトバ自体がすでに古くなっている。「協力」と記すべきである。対等な立場で協力し合うという”パートナーシップ”は国際協力の世界では、すでに普通の概念になっていると私は思っている。その辺、不満が残るのだが、西川氏の最後の文章を読むと、”日本こそ、パートナーシップの先駆けたれ”と結んでいる。全くその通りだと思う。引用しておきたい。
『日本は震災で援助されることのありがたさを身をもって知った。他の先進国に先駆けて日本は援助の相互性を概念化していく優位性を保持している、と私は考える。』

今日の画像は、ニジェールでJOCVをされていた理学療法士MISAさんのブログから借用しました。私もブルキナで、ポリオの後遺症のため、同じような手漕ぎの自転車に乗っている方を見た経験があります。胸がつまりました。パキスタンをはじめとした残り1%の撲滅を心より祈ります。

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