2010年5月25日火曜日

叢裏鳴虫


 政治向きの意見は、このブログでは書いてこなかったのだが、最近の政治状況を見てみると、あまりにあまりである。今日のタイトル『叢裏鳴虫』は、岩倉具視が隠棲させられていた頃書いていた手紙の名称である。私の意見など草むらの裏で鳴く虫の声くらいだという自虐的な立場で書かせていただく。
 現在の小選挙区制は、中選挙区制の矛盾が限界に達した故の産物であった。金権選挙のもとになったのは、自民党の長い政権下、自民党同士で議席を争い、選挙活動に金が乱れ飛んだ故である。派閥が各議員に金を出すことで派閥政治を生んだこともその弊害とされた。これらの解決策として小選挙区制が生まれたわけだが、そろそろ、その矛盾も明らかになってきたように思う。
 小選挙区制は、大政党が風次第で大勝する。政治家個人ではなく政党のイメージやその時の総理の人気などに左右されるようになった。TVによくでる者勝ちのような、政治家のイメージつくり。政治もバラエティ番組化されているような印象さえうける。特にひどいのは、マニフェストが選挙対策ONLYで、大衆受けする安易なも政策が多すぎることだ。政治は、所詮利害の調整である。「正義」がどこにあるのかは難しいが、少なくともぶれないで欲しい。元首相の言動はあまりにも安易でころころ変わりすぎである。「勉強して海兵隊の存在意義がわかった。」などと、国民の信頼感を根底から揺るがすような言を政治家は口に出してはならない。まして一国の首相ならば当然である。
 私のような叢裏鳴虫であっても、生徒に約束したことは絶対守る。「できないことはできない。」とはっきり言う。言ったことは何が何でもやりきる。信頼と言うものはそうして積み重ねていくものだ。そしてその信頼は、「破壊は一瞬」である。そんなこともわからない人間が国を動かしているのは恐ろしいことだ。

 小選挙区は、中選挙区の矛盾から生まれた。小選挙区の矛盾もはっきりしてきた。政党の党利党略で政治が混乱している。これだけマスコミが発言力を増し、政治とカネにもそれなりの倫理観が確立されてきた。(首相や政権党幹事長クラスになるとこれを超越できるらしいが…)また、派閥は派閥の良さもある。政治家が鍛えられ、少なくとも活力が生まれる。様々な民意をくむ意味で中選挙区制にもどしてもいいのではないだろうか。少なくとも今よりはマシだと思うのだが…。<今日の画像はオセロゲーム。小選挙区で一気に勝敗が変わる政治は、どうも私はいいとは思わない。>
 

3 件のコメント:

  1. 私たちは近年やっとイギリスに習った二大政党制を手に入れました。そしてそのイギリスはもう二大政党制を卒業して次のステップにいきました。海外に行くたびに日本ほど便利で豊かな国はないと思いますが、政治はまだまだ欧米に追いつけません。欧米の政治を無批判に肯定はしませんが、日本よりも進んでいることは確かだと思います。

    今日読んだ中江兆民の『三酔人経綸問答』にこんな興味深い文がありました。「政治の本質とはなにか。国民の意向にしたがい、国民の知的水準にちょうど見あいつつ、平穏な楽しみを維持させ、福祉の利益を得させることです。もし国民の意向になかなかしたがわず、その知的水準に見合わない制度を採用するならば、平穏な楽しみ、福祉の利益はどうして獲得することができるでしょう。」

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  2. 最近、就職活動で大阪市内に出ることが増えました。
    民主党公認候補の元探偵ナイトスクープ司会役の 岡部まりさんを2度ほど拝見しましたが、
    彼女が政治や政策について語っている所は一度も見たことがありません。
    ヤワラちゃん然り池谷選手(体操の)然り、顔だけで売るのも今の選挙や政治に良くないなぁと思います。

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  3. 哲平さんへ 中江兆民も無責任な知識人ですが、その”国民の知的水準云々”は名言だと思いますねえ。
     Yukmi君へ もう芸能人やスポーツ選手はいいよねえ。なんか情けなくなるよねえ。
     本校のHPをリンクしている関係上、政治的なことは極力書かないようにしてきました。これからもそうしたいと思っています。とはいえ、叢裏鳴虫は、シリーズになるかもしれないですね。(笑)

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