2010年5月19日水曜日

ハーレムでエヴァンゲリオン


 授業でキリスト教を教える時、心がけるのはやっぱり「属性」である。案外生徒は、キリストをイエスの名字だと思っていたりする。キリスト教的言葉で、最も「属性」を呼び起こすのは『福音』である。私が、「英語で言ってもらおうか。」と言ってすぐ「ゴスペル」と返ってくることはめったにない。まして「じゃあギリシア語で…」と言って返ってくることもめったにない。(その”めった”が昨年倫理の授業であった。無茶苦茶よく出来た生徒だった。)そう、「エヴァンゲリオン」である。我愚息が中学の頃、ハマっていた。部屋にはポスターがたくさん貼ってあった。(笑)私は詳しくは知らないが、ガンダムと共に未だにその人気は高いのである。

 だいたい授業では、ちょっと脱線してハーレムでのゴスペルの話をすることにしている。私はれっきとしたブディストだが、音楽としてのゴスペルは大好きだ。NYCに行った時、トミー富田氏のハーレム・ゴスペルツアーに参加した。バブティスト(当然、キリスト教の様々な分派については毎回詳しく教えている。ルーテル派、クウェーカー、メソジストなど違いをちゃんと教えることにしている。こんな差異を知らないで、何が異文化理解かと私は思っている。)の教会にゴスペルを聞きに行くのである。たまたま私が訪れた教会は特殊らしく、デキシージャズ風だった。入った時、説教がまだ続いていた。着飾った黒人たち。原色が良く似合う。それにしても彼らは服飾に金を惜しまない。隣に座った5歳くらいの少年も、スーツに蝶ネクタイだった。説教が退屈らしく、身体をゆらすと隣のぶっといママにピシッと背中を叩かれていた。説教は、やがてアジテーションと化し、牧師が「ジーザス、カミング!」を繰り返す。聴衆もそれを復唱していく。凄い熱気である。牧師がひときわ大きい声で絶叫すると同時に、ペットやサックス、ボーンといったブラスバンドが左右から現れたのである。聴衆は総立ちになり踊りだす。私もとにかく立った。隣の少年はひどく冷静で大人たちを冷笑していた。(笑)凄いのである。何が凄いってトランス状態の人間を初めて見た。あの婆さん、危ないと私が思ったと同時に、ピンク色のナースたちが駆け寄り、「ハイこの人退場!」という感じで連れ去っていく。次はあの爺さん、と思ったらナース登場、次々に医務室に連れていくのである。私は、ハーレムで”目に汗をかいた”のであった。

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