2010年5月2日日曜日

トイレの神様と国際経済の神様


 植村花菜の『トイレの神様』という曲を今日初めて聞いた。愚妻がMDに入れてもらったらしい。2人でH鍼灸院へ行くための車の中で聞いたのだった。なんだかじーんと来た。最近のJポップと呼ばれる曲は英語の歌詞がやたら挿入されていたりして、70年代フォーク世代の私はあまり好きではない。しかし、今日聞いた『トイレの神様』は、最近の小手先で聞かせようとする曲ではなく、「普遍的な」名曲であった。今時の少女から娘になる青年期の葛藤がよく描かれているし、おばあちゃんの「トイレの神様」と「べっぴん」という関西の語彙が素晴らしい。時代は変わろうとも、日本の惻隠の情というか…そういうちょっとシャイな部分が、世代を越えて心のひだに響くのだろう。<画像は『トイレの神様』を歌う植村花菜さん>

 昨日、NHKの「追跡!AtoZ」という番組で、これからの日本の資源外交戦略についてやっていた。概略を説明すると、日本の主要輸出品である自動車産業は、環境を考えて、ますます電気自動車化する。そこで必要なのは、レアメタルとレアアースである。ニッケル・リチウム・コバルトなどのレアメタルは、リチウム電池に必要不可欠である。レアアースは、モーターの磁力アップ(10倍になる)や高温になっても磁力が低下しないために必要不可欠だという。このレアメタル・レアアースの獲得に当たっては、中国が完全に世界をリードしている。特にレアアースは、鄧小平が生前から「中東有石油、中国有稀土」と言い、国家戦略として開発を進め、今や世界の97%のシェアを誇っている。レアメタルも同様にアフリカの採掘権を買いあさり、次世代自動車産業の覇権を握ろうと政官民一体となっている。番組では、ボツワナのニッケル鉱をめぐる中国と日本の力の差を追う話題と、日本の経済産業省がベトナムでのレアアース開発を有利に進めている話題(環境への配慮、技術に関して日本が世界トップレベルであることを交渉材料とした事例)を提供してくれた。
 さて、私が興味深かったのは、政務官(民主党の議員)とレアメタルに詳しい民間人の意見の対立である。政務官は、「ボツワナ等で中国が官民一体になってやっているようにODAを大いに有効活用すべきだ。ベトナムでも活用したい。」と発言した。それに対し、民間人氏は、「ODAも結構だが、環境にやさしい技術をもっと前面にだし、日本にしかできない持続可能な開発をしてほしい。どんどん日本の環境技術力を資源提供国に供与して、共に豊かになろうとする姿勢が重要だ。」と述べた。
 日本という国は、世界的にみると「国家戦略が見えない国」であろうと思う。(もっとも無いに等しいのだろうが…。)善意的に言えば損得勘定だけの国益をあまり表にしない国である。だから、ものすごく好かれないにしても、嫌われない。たしかに国益は重要であろうと思う。アメリカや中国の国益追求は凄まじい。しかし、民間人氏が言うように、(地球市民としての)「心情」に重きを置くほうが、後に真の国益にならないか、と私は思うのである。
 国際経済には神様がいて、毎日きれいに自分の技術と心根を磨いていると、いつか世界中の国々に「信頼される」…。植村花菜さん、次は「国際経済の神様」という歌作ってくれないかな。

2 件のコメント:

  1. 『トイレの神様』 私も聞きました。
    じんわり、心が温かくなる歌ですよね。
    だけど、本当の意味を知るのにはもう少し時間がかかりそうな気がします。


    地下資源に乏しい日本は、海外に頼るしかなくより、
    産業の空洞化が進んでいくように感じます。
    そうなると、やはり国内での採用が減少し、大学を卒業しても仕事が無いなんて事になるのでしょうか?
    なにか上手い打開策は無いものでしょうか?笑

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  2.  久しぶりに初めて聞いた曲に、うるるんした。あの曲の根底に流れるものは、難しいかもしれないなあ。
     ところで、就職戦線はかなり厳しそうやね。産業の空洞化はすでに大きく進んでいる。だいぶ前から、ブランB2.0を読んでいた私は、これからの産業の中核は環境技術だと授業で叫んでいたのだが…。日本政府の対応は遅い…。戦略がないと言われても仕方ないよなあ。そのしわ寄せがYukimi君にもたしかに来ているのかもしれない。

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