2025年12月18日木曜日

佐藤優 哲学入門 備忘録18

佐藤優氏の『哲学入門』(角川書店/2022年)の付箋をつけた箇所の備忘録エントリーの第18 回目。本日のテーマは、ライプニッツのモナドである。

佐藤優氏は実にわかりやすくモナドを解説してくれている。スピノザの汎神論では実体は1つ、ただしそれは曖昧模糊としたもので世の中のすべてのものを全部統合し、これを神と呼んだわけである。そこに人格はない。しかし現実は、活動の主体として1人ひとりがいる。ライプニッツは、世界を考えるモデルを根本的に変えようと考えた。1人ひとり個性があるから、活動の主体は(物質的な)アトムではない。それがモナドである。モナドは、神以外作ることが出来ないし、消し去ることも出来ない。モナド自身が大きくなったり、小さくなったりして予定調和している。しかもモナドは互いに出入りする窓や扉を持たない。かつ、モナドは自分で自分の姿を見ることは出来ず、人の姿を想像することしかできない、と。(P237-8)

…前述のようにライプニッツは微積分を考え出した人なので、面白い比喩がある。気絶とは意識がなくなるのではなく、意識が極小化したのであって、回復可能というわけである。なるほど…。

予定調和については、個々の人間の能力の高低は生まれる前から決まっており、努力によってある程度変わるものの、限定的である。階級社会との親和性が強い。世界は身の丈で成り立っているという発想である。ところで、この予定調和の世界にも悪が小さな存在する。その悪をやっつけてこそ善が生まれるという「悪の自立論」となる。この悪の自立論については、神学的には悪の力を過小評価したアウグスティヌスの考えを完成させたもので、哲学と宗教を統一した至高の境地と見ることも可能なのであるが…。(P232-6)

…佐藤優氏は、この悪の自立という考えは、西側から生まれず、ドストエフスキーとの出会いが必要だったとしている。ドストエフスキーは、小説というカタチで正教世界が普通に思っていることを紹介した故に重要だと記している。これで、やっと2日目の講義分が終了した。

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