2015年10月27日火曜日

佐藤優と池上彰の「大世界史」

先日、日経に「大世界史-現代を生き抜く最強の教科書-」(佐藤優と池上彰対談/文春新書・本年10月20日発行)の広告が出ていた。さっそく手に入れて読んでいる。この本、実に面白い。超新刊だし、あまり内容をバラしてはいけないと思うのだが、ブログを見ている方にも読んでもらいたいので、意外な話を中心に私的に小出しにして、宣伝したい。(笑)

佐藤優のアラブの春についての考察:アラブの春には民主主義をつぶす機能しかなかった。むしろ、アラブの分裂に乗じて、非アラブのイランとトルコが帝国として自らの影響力を拡大するチャンスと思い始め拡張主義的政策をとっている。

池上彰のトルコ観:エルドアン大統領は、気分はもうスルタン。イスラム化政策を強力に進め、大学で女性のスカーフ着用を解禁。22時以降の酒の販売を禁止。言論弾圧も激しい。毒物による暗殺をかなり恐れている。近代化を推進した軍をかなり恐れているようだ。

佐藤優のトルコ観:トルコの情報機関は中央アジアを非常に重視している。トルコにとって、ペルシャの後方にある中央アジアやウィグルと「チュルク族」という共通認識をもっている。

佐藤優のギリシア観:19世紀にイギリスとロシアのグレートゲームの中で恣意的にギリシアは作られた。オスマン帝国を解体するための一環である。黒海沿岸に住んでいたギリシア人(彼らは自己意識があった。)が、オスマン帝国内のキリスト教徒のミレット(共同体)に入っていた「オスマン帝国内のギリシア正教徒」に、お前たちは由緒正しいギリシア人なのだと働きかけをさせ、イギリスがバックについて独立戦争に参加させた。1900年ぶりのギリシア復活である。DNA鑑定をすればトルコ人と変わらない。アナトリアにいた正教徒とギリシアにいたムスリムをアナトリアに移す住民移動を行って人造王国をつくった。王はドイツのバイエルンから王子を連れてきたが腐敗していたのでデンマークから王を連れてきた。

…などと実に刺激的である。今日はトルコにまつわる話を中心に挙げてみた。トルコの選挙結果が楽しみではある。

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