2015年3月3日火曜日

毎日 神大付中等教育学校の試み

神大附属中等教育学校
3月2日付の毎日新聞「くらしナビ」に、神戸大学附属中等教育学校の、グローバルな時空間認識を培う新しい地理・歴史教育についての記事が載っていた。13年から文科省の研究開発学校指定を受け、4年生(高校1年にあたる)に、従来の科目構成を再構築した「地理基礎」「歴史基礎」という必修科目を設定しているそうだ。

地理基礎では、①地球社会が直面する課題として、気候や地形、民族の状況を学習した上で、熱帯雨林破壊や砂漠化の進行といった課題を抱える地域について探求。②グローバル化と地域をキーワードに世界と日本との関係を考える、としてEUのような地域共同体を日本が組む場合どこと組むべきか、その構成と名称を考えるグループ学習を行ったという。

世界史と日本史を統合する形の歴史基礎では①地域世界と日本②世界の一体化と日本③グローバル化した世界と日本をとし、①ではなぜ文明が生まれ、王が誕生したか、なぜ身分が生まれ領土が誕生したのかを学ぶ。②では、16世紀以降の世界商業の進展と資本主義の確立を中心に学び、③は2度の世界大戦と冷戦期を中心に、世界が形成される過程で生じた歴史的展開を、席あの動向と日本の関係に注目しながら学ぶ。③では、日本の敗戦を日本人がどう受け止めていたかを資料で読み解くことから授業が開始され、WWⅠ以降の流れを新聞やポスターを手がかりに、世界の視点、日本の視点の両方から考察したという。ワークシートに自分の考えを記入し、グループで討論し、発表した。担当の先生方の声は「時間不足とどう向かい合うか。教える内容の精選が必要だ。」というもの。

…この思考力を高めるための地歴学習の試みは、極めて重要だと私は思う。神大附属の先生方の立てた地理基礎・歴史基礎の柱は、妥当なものだと思う。中学での基礎的な事項の学習と高校での学習の中間に、このような科目を設定することに私は大賛成である。詰め込み型の今の地歴教育が、必ずしも生徒の教養(知識ではなく知恵)を高めているとは思えない。教える側が教材を精選して、テーマを設定しながら教えることが、時間制限のある中、どうしても必要になってくる。この基礎科目の学びを受けて、高校の日本史・世界史・地理があってしかるべきだ。何が最も重要なことなのか、教える側の力量が問われるのだが、そこはプロとして踏ん張るしかないと私は思うのだ。ちょっと、神大附属の先生方が羨ましい。こういうプロジェクトに関わってみたいものだ。

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