2019年9月3日火曜日

橋爪大三郎氏の韓国論

https://www.youtube.com/watch?v=9DfFX2DYCb0
社会学者の橋爪大三郎氏の小論が非常に参考になると思うので、国際関係、政治学、歴史学、社会学系志望の学生(OBも含めて)に、私の特別講義として贈りたいと思う。

最初に結論から示すと、「条約に従う義務は憲法に従う義務以上のものである。このことは学校ではよく教わらないけれども、とても重要である。」というものだ。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66656

その理由は、「国際法の出発点は、近代国民国家が正当か否かは相互承認によって決まるという原則がある」からである。革命などで政権が交代しようと、自国の存在を認めてもらうためには、前政権が結んだ条約であっても守る義務がある。

たとえば、清朝が結んだ香港の99年間の租借条約を中華民国は継承した。中華人民共和国が成立した際、他の租界は日本軍が一掃し、日本が敗れたので中国に戻ってきた。香港に対して、毛沢東は実力で奪い返すこともできたが、正統な政府として承認されること方が重要だと考えた故に、条約を守り水や野菜を供給した。文革の時も同様である。その見返りにイギリスはいち早く中華人民共和国を承認した。

明治維新でも、江戸幕府が結んだ不平等条約をそのまま継承した。薩長政府は万国公法を知っており、独立国として承認される道を選んだといえる。(もう一つの小論で、橋本大三郎は、もし攘夷一辺倒の水戸藩士が政権を握っていたら大変なことになっていただろうと推測する。実に面白い。)第二次世界大戦後、無条件降伏のポツダム宣言を受諾した日本は、アメリカに主権を譲り渡した。憲法より条約の方が効力が大きいという実例の1つである。

前述のもうひとつの小論も面白い。こちらは、韓国の日韓併合無効論を論破している。歴史的な検討が中心の小論である。条約を否定することで人気を得ようとすることがどれだけ危険か、ナチスの例も引かれている。さて、この小論の最後に、こんなことが書かれている。

『かつて戦争をしていた日本は鬼畜米英などといい、本土決戦を辞さなかった。アメリカは、大都市を戦略爆撃した。(中略)むごいがほかに方法がなかったといえる。そして結局日本は戦意を失い、日本は救われた。人間は少しの痛みもなしに、現実を受け入れ考えを改めるのは難しいのだ。今回の事で、日本も苦しい目にあう。けれどもそれは意味のあるコストだ。』
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66658

…私も全く同感である。儒家のカインコップレックスをもち、反日というゼロ記号をかざし、反省しない傷ついたコギトである韓国の人々が、国際社会で蘇生するためには、こういう痛みが必要なのだと思う。

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