2014年10月30日木曜日

政経DEアフリカ開発経済学

中間考査終了後、政治経済では、アフリカ開発経済学を講義している。夏休みに開発した新しいゲームを行ううえで、基礎的な事項を学ぶほうがいいだろうと考えたのだ。これまでのアフリカ開発経済学テキストの成果をもとに、できるだけわかりやすいように工夫しながら進めている。

今回は、まずアフリカの地図を出して、重要なサブ=サハラ・アフリカの国々を書き込ませることから始めた。東アフリカ、南アフリカ、中央・西アフリカ…。政経の資料集に国名が書かれた世界地図があるので容易だ。続いて、アフリカの気候の話。赤道の位置をクイズ形式にして聞いてみる。ゆとり世代のフツーの学力の生徒たちの地理の知識は、恐ろしく低い。そのうえで、赤道からAf(熱帯雨林気候)、Aw(サバナ気候)だけ詳しく説明する。さらに砂漠の位置と、BS(ステップ気候)の気候についても解説する。これらは面白おかしく解説して頭に入れさせる。AwとBSはアフリカの農業を考える上で、極めて重要な気候だからだ。

農業のレベルの話を次に持ってきた。カロリーが最も高く、人口支持力が大きいのは米である。小麦は、栽培条件が容易になるがカロリーは低くなる。さらにトウモロコシ、雑穀、遊牧という、カロリーから主食たる穀物のレベルである。米が作れるなら米、ダメだから小麦、というふうに大局的に見ると法則性がある。このカロリー、人口支持力の話をしたのは、アジアとアフリカの相違を説くためだ。

開発経済学は、アジアをモデルに発展した。緑の革命で飛躍的に農業生産力が拡大したアジアでは、余剰労働力を都市に送り出すことに成功した。以来、低賃金労働者の供給から工業生産額があがり、第三次産業の発達、ガバナンスの改善へと進んだのである。では、アフリカはどうだろう?というわけで、Aw・BSの気候、天水にたよる農業、ラトソルなど知力の低い酸性土壌の多さなど自然環境に関わる違いから、生産性の低さ、人口支持力の低さを語るわけだ。

問題は、社会的な問題である。緑の革命を容易にできないわけは、何も自然環境だけではない。最大の問題は教育・識字率の問題だが、アフリカの土地の共有制度(個人所有の土地ではなく、村の長がみんなのモノの土地管理している。)も大きい。(これは開発自体には不利だが、移動が多いアフリカの人々にとって良きアフリカの在来知でもある。)また、一部の者だけが富を独占することを社会的に制限する呪術の存在もあるだろう。これも、非合理だと切り捨てる問題ではないと私は思う。今は、そんなことを語っている。

アフリカの慢性的な食糧不足と貧困の関連性は重要である。食糧不足故にその不足分を補う外貨が必要となるのだが、それが上手くいっていないのが1990年代のアフリカであり、最貧国と呼ばれる国々の現状であるからだ。(ただし、石油などの鉱産資源の輸出で儲けているレンティア国家の誕生で最近は大きな変化が見られる。)

だが、その前に、アマルティア=センの「貧困」の概念をもとに、HDI(人間開発指数)やMDGs(ミレニアム開発目標)、さらに人間の安全保障の概念も語るつもりである。貧困とはなにか、をはっきりさせたうえで、現状を語るべきだと思うからだ。

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