2014年10月28日火曜日

日経 習近平と前漢・宣帝

中国の習近平体制が2年。「めざすは中興の祖」昨日の日経の朝刊にこんな記事があった。
(中南海では)習近平の評判はいいらしい。憲法では国家主席の任期(5年)は2期となっているが、是非3期にして、2027年までやってはどうか、あるいは党規約では、総書記の任期はないので、プーチンのように国家主席と首相を交互にやるというのはどうか、などといった声が出ているのだという。たった2年で、かなり党中央を押さえ込んでいるわけだ。

「わきまえを知る者、時に応じて変化し、知恵ある者、事に応じて法規を変える。」習近平が好んで引用する故事だそうだ。これは、前漢・中興の祖といわれる宣帝の言葉らしい。どうも、習近平は、宣帝と自身を重ね合わせているらしい。宣帝は、在位25年の法家主義者で、腐敗施策を徹底した皇帝だ。

実は、宣帝は、皇族の生まれでありながら親族の不祥事で追われ、民間で育った。後に、この経験が専売品だった塩の価格を下げ民衆におおいに喜ばれたという。習近平も、文革時に父が失脚、16歳で下放されている。こういう点でも似ている、というわけだ。

ただ、中国史を見てみると、法家(法治主義)の皇帝は多くは短命だという声もある。秦は15年で滅んだ、というわけだ。

…先日もエントリーしたが、加藤隆千葉大教授の「武器としての社会類型論」では、中国は、上共同体下個人という社会構造である。この見方、極めてよくわかる。現在の中国で言えば、共産党員、とくに高級幹部の中南海の住人は、支配を手にしており、社会を管理する役割を担っている。しかし自由はない。富については、あまりにえげつない蓄積を行うと、摘発される。今、習近平は、その辺のガバナンスの舵取りをしているといえるだろう。中国の下層部は自由な個人。支配はないが、ある程度富を獲得できる。これも、現在の中国をよく表している。サンゴを求めて小笠原まで来るぐらいだもの。

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