2014年10月13日月曜日

「悪名の棺 笹川良一伝」を読む2

槙枝元文
以前(9月25日付ブログ参照)エントリーした「悪名の棺 笹川良一伝」の書評を書きたい。よほど、笹川良一という人物、悪名がとどろいているのだろうか。私の書評エントリーでもペ-ジビューが少ない。(笑)全部読んでから、あらためて書評を書くつもりだったが、なんとなく間をおいたのは、そんな微妙な空気のようなものもあったのだった。

巷では、カジノ法案なるものが提出されている。毎日新聞などは今朝の社説で、「(カジノ)解禁ありきに反対する」という論を張っている。私自身は推進派といわれる政治家集団に不信感を抱いているので、同感なのだが、ギャンブルでカネを稼ぐという発想は悪なのだろうか。たしかに難しいところだ。

この本の中に、なつかしい名前が出てくる。槙枝元文である。元日教組委員長である。私は組合員ではないし、特に恨みもないのだが、彼は笹川に対し、総評新聞や様々な機会で、笹川のCM(私たちの世代にはなつかしいCM「一日一善」)などを非難中傷している。その後、「功なり名を遂げて」現役を退き、日中勤労者交流センターという財団法人を旧労働省を動かして創設し、理事長に就任した。しかし、2年後に資金難に遭遇。幹部職員から笹川平和財団に援助を求めるように言われた槙枝は、これを受ける。当時の財団は三男が理事長であったが、CM攻撃のことなどおくびにださず助成金だけを出した。しかし、その後も、槙枝は、笹川を「ギャンブル王」呼ばわりし続けるのである。

私は、こういう人物を信用できない。自分の信念を曲げただけでなく、恩を受けながら、それを仇で返すという変わり身、いや、変わり身を隠す保身というべきか。この点、何も言わず内容を吟味して支援した笹川側に少なくとも、男の美学という点から、軍配を上げる。

思想信条では、私は笹川氏を尊敬することもないし、ことさらギャンブルで儲けたカネが汚いという気もない。それがハンセン氏病などの様々な公益や福祉に使われてきたことは事実である。槙枝という人物の不義も含めて、事実を事実として受け入れていくだけのことだ。そんな乾いた感想をもった次第。

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