2014年10月22日水曜日

朝日 内田樹氏のカジノ法案論

昨日の朝日新聞に、内田樹氏の「オピニオン・カジノで考える民主主義」というインタビューが掲載されていた。一日寝かせたうえでエントリーしたいと思う。内田樹氏の発言は、毎回感じるのだが小気味よい。内田樹氏の論旨は、次のようなものである。

賭博をやめろというような青臭いことは言わない。賭博欲は人間の抑止できない本性の一つ。法的に抑制すれば地下にもぐるだけである。公許で賭博をするというのは、計量的な知性がはじき出したクールな結論である。ただし、今回のカジノ法案には反対である。

法案は賭博を「日の当たる場所」に持ち出そうとしている。パチンコが路地裏で景品を換金するのを「欺瞞だ」と言う人がいるかもしれないが、あれはあれで必要な儀礼である。やむを得ず限定的に許容されていることを確認するために必要なのである。賭博はあくまでグレーゾーンに留め置くべきものであって、白昼堂々、市民が生業としてやるものではない。法案は賭博をただのビジネスとして扱おうとしている点で、賭博が分泌する毒性についてあまりに無自覚である。

賭博は何も生み出さない。何も価値あるものを作り出さない。一攫千金の夢に迷って市民生活ができなくなる人間が増えるほど儲かるというビジネスモデルである。不幸になる人々が増えるほど収益が上がるビジネスである以上、そのビジネスで受益する人たちは「賭博に淫して身を滅ぼす人」が増大することを祈ることを止められない。国民が不幸になることを受益するビジネスを国が率先して行うという発想が信じられない。

安倍政権の経済政策は武器輸出三原則の見直し原発再稼動などいかに効率的に金を稼ぐかにしか興味がない。戦争や麻薬など人倫に逆らうビジネスほど金になる。でもいくら金が欲しくても、あまり「はしたないこと」はできない。その節度が為政者には求められる。安倍政権には節度も謙虚さも何も感じられない。

…カジノ法案への私の不信感を内田樹氏は見事に表現されている。ホント、小気味良い。

…日経だったか、安倍首相が視察したシンガポールのカジノは、前年同期比で27%減益だというニュースもあった。中国の景気減速・観光客の資金回収が遅延してることが最大の原因らしい。国のトップが日本の経済成長に資すると発言するほどのものではないと私は思う。

…今日の毎日・朝刊の「水説」(中村秀明論説副委員長)では、ランドセルが外国人に意外な人気商品となり、また正露丸や龍角散、目薬などが品質にうるさい日本で愛用されているという理由で台湾をが中心に人気だという。日本にはまだまだ外国人の興味を引く面白いものがたくさん眠っている。そんな「普通の国」でない日本に、どうしてよその国のまねをしてカジノを持ち込みたいのか。日本の良さをおとしめ、名を汚す。まさに国益をそこなうのではないか、というコラムが載っていた。

…まさに同感。カジノ法案などは不要だと思う。人倫に逆らうビジネスを国が推進する必要はない。政治家の知性を問いたい。

http://www.asahi.com/articles/DA3S11412485.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO75882700Z10C14A8FFE000/
http://mainichi.jp/opinion/column/ushioda/archive/

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