2014年10月27日月曜日

日経 イスラム国心理学的考察

http://www.albawaba.com/news/interview-islamic-state--605763
日経に、「なぜ今イスラム国なのか」という日経本社の脇祐三氏のコラム「核心」が今朝掲載されていた。今日のタイトルにあるように、社会学的、そして心理学的な考察がされており、これはこれで面白い視点だと思う。

コラムでは、まずイスラム圏の出生率の高さの問題を提起している。このことは中東や北アフリカ地域における失業率と関連しており、若者の閉塞感を生んでいるのだと。「社会がおかしいのは、政治指導者や社会制度がイスラムの教えに従っていないからだ」とするアピールが求心力を生む土壌があるわけだ。リーマン・ショック後の欧米のイスラム移民社会も同様である。

若者たちが過激になるのを理解するツールは、神学ではなく心理学だと脇氏は言う。米政府のテロリズム分析作業に関わるメリーランド大学のエイリー・クルグランランスキ教授によれば、「人間は問題について、明快な解を求め、あいまいさを嫌う傾向がある。迷いを断ち切りたい欲求から、あれこれ時間をかけて考えるのをやめ、行動を選択する。行動自体が目的だと感じると、プラスの感情がわく。心理学の認知や動機付けの理論はイスラム国に引きつけられる若者にあてはまるかもしれない。」

しかもIT革命によって、イスラムのあり方が変化している。最寄のイスラム聖職者から、サイバー空間にある多様な言説へ、若者は道を求めていく。しかも、ツイッターなどのやりとりは字数が限られる故に、ますます主張がとんがってくる。さらに非日常的な空間にいざなうわけだ。

イデオロギー以外の側面から見ることも重要ではないか、というのがコラムの要旨である。

…なるほどと思うところがある。社会学的考察、心理学的考察、さらにITの役割の分析。さすがである。だが、私は、やはり構造的暴力・欧米的な価値観の普遍化への反発こそが、核心だと思う。イスラム国にはせ参じようとする若者には、そこまでのロジックはないとしても、である。

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