2014年4月2日水曜日

ケニアのソマリア難民・緊急令

ダダーブの難民キャンプ https://clwr.wordpress.com/tag/dadaab/
今朝の毎日新聞に、ケニアの情勢が報道されていた。ケニア政府が、国内の都市部に居住するソマリア難民に対し、指定された難民キャンプに戻るように緊急令を発したとのこと。

現在ケニアには約50万人のソマリア難民が流入している。ソマリア国境沿いのダダーブは世界最大の難民キャンプと言われている。さらにナイロビにも難民が集まる大規模なソマリ人地区が形成されている。ソマリアの過激派アル・シャバブが近年国境を越えて、ケニアの地域社会に徐々に浸透していている。ケニア軍がソマリアに軍事介入した2010年10月以降、ケニア各地で報復テロが頻発している。昨年のモール事件もその延長線上にある。

3月25日に緊急令が発令されたが、さっそく、3月31日にソマリ系ケニア人やソマリア難民が多く住む地域で爆破があり6人が死亡したという。この地区ではアル・シャバブの犯行と疑われる爆弾テロがたびたび起きている。戦闘員がソマリ人地区に潜伏している疑いがあり、都市部の貧困地域で若者を勧誘するケースもあるという。

さらに、600人以上のソマリ系の人々が拘束されたというニュースがNHKから流れている。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140402/k10013430821000.html

こうしたソマリア難民への帰還・緊急令に対し、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部ニューヨーク)が、過密で整備が不十分なキャンプへの強制的な移住計画は再考すべきだと反対しているという。

…たしかに国境なき医師団のダダーブでは4割以上の人々の住居がなく、栄養失調も深刻化しているといった惨状である。(下記の国境なき医師団のニュース参照)ケニア政府を批判することは簡単だが、そもそもケニア政府が招いた問題ではないと私は思う。ケニアもソマリア難民同様の被害者であるというのが、冷静な見方ではないだろうか。ケニアもソマリアからの難民だけでなく、武器が流入することで私たちが訪れた2003年の段階でも治安の悪化が叫ばれていた。ケニアも苦しんできたのだ。
http://www.msf.or.jp/news/detail/headline_1142.html

私が今、一番危惧しているのは、ソマリ系の人々はケニアではわりと目立つ存在だと言うことだ。それは、文字通りソマリ人は目鼻立ちがすっと伸びていて、特に女性は美しい。故ピーター・オルワ氏も「あの人はソマリやね。すぐわかる。」と教えてくれたのを思い出す。ケニアには様々な民族が共生しているが、ネグロイドでも人類学的には民族によって大きく特徴が違うらしい。ピーター氏は、彼はキクユ。彼はカンバと、それぞれの特徴を教えてくれたりした。たしかにそう言われれば見た目で違うことがわかったのだった。その中でも、ソマリの人々はケニアでは突出しているのだ。政府の緊急令によって、大きな騒動が起こらなければいいが…と私は危惧している。日本の私たちが想像している以上にケニアも多民族が共生していて、事あるごとに、この民族的な問題が顕在化する脆弱な社会であるからだ。

重要なのは、ソマリアの問題がすぐに解決しないのであるならば、国際社会が認める中、ソマリアに介入したケニアの治安の回復と、難民キャンプの大々的な改善であるだろうと思う。難民キャンプの多くの人々が帰国を望んでいない以上、国際社会が無関心を続けないことだと思う。貧困が暴力を生む。ソマリアの若者とケニアの人々ががこれ以上傷つかないことを切に望みたい。

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