2012年10月11日木曜日

世界史Bじゃがいも飢饉の脱線話

Aran Islands
中間考査が間近に迫ってきた。今回の世界史Bの範囲は第一次世界大戦前夜までのヨーロッパ史である。今日はイギリスのビクトリア時代の話をしていたのだが、アイルランドのじゃがいも飢饉の話でおおいに脱線してしまった。100万人の餓死者を出した悲しい歴史である。そもそもアイルランドは、古代ローマ帝国から疎外されたヨーロッパの田舎である。イギリスに併合されてしまうし、土地も悪い。そんなアイルランドの悲哀を象徴するのが、アラン諸島である。

実は、息子が高2の春休み、かねてからケルト文化に興味をもっていたので、夫婦して一人旅に出したことがある。一人っ子故に、勇気をもって旅に出したのだった。私がアメリカに行く為、HISに、ばら売りの海外保険を申し込みに行ったら、エールフランスの航空券が特別価格で出ていたので、ポンと買ってしまったのだった。このへん我が夫婦は思い切りがいい。(笑)一週間で、小遣いは500ユーロポッキリ。1泊目だけダブリンのユースホステルを予約しておき、あとは高校生バックパッカーにお任せ。(笑)その息子が目指したのが、アイルランドを横断し、大西洋岸のゴールウェイから、アラン諸島であった。我が息子ながらなかなかいいコースだ。

アラン諸島は、岩盤で出来た島で、風が強い。土は風で飛ばされてしまう。畑を石垣で囲み、岩盤を砕いて、海藻を敷き詰めてまでして農業をしている。凄い島なのだ。アイルランドの汗と苦労が凝縮したような島なのである。

さて、アラン諸島の話から、さらにアメリカへの移民の話になる。じゃがいも飢饉は、この移民を促進した。対岸のイギリスの港・リバプールがその移動基地となる。だから移民できなかった者もいて、リバプールには在英アイリッシュが多いわけだ。で、ビートルズの話になる。リバプールからニューヨークへの旅。移民の玄関・エリス島の話もすることになる。ニューヨークにアイリッシュが多くなり、白人の中でも最下層に置かれることになる。ちなみに、大陸横断鉄道を東から敷設した労働者はアイルランド移民が最も多い。(西からは中国人の苦力である。こんなことも教えておきたい。)あの9.11の際も、犠牲になったNYCの警官や消防士はアイリッシュが多かった。それは、犠牲者の追悼式がカトリックの三位一体の教義を名に冠したトリニティ教会で行われたことでもわかる。

St .Patorick's Day Parade
今では、アイルランド系アメリカ人は、本国より人口が多い。私のアメリカ人の友人の中でも40%くらいはアイリッシュの血が混じっているという感覚がある。最後に聖パトリック(アイルランドにキリスト教をひろめた聖人)デーの話をした。アメリカでも緑色の衣装を着て盛大にパレードが行われる。もちろんアイルランド系以外の人も参加するし、大リーグでも緑色のユニフォームを着てプレイする。今や、アイリッシュは、アメリカという国の超重要な構成要素になっているわけだ。

そんなことをしゃべっていると時間が押してきた。あちゃー、明日は世界史Bの3クラスとも最後の授業である。全力疾走で50分間走り抜けなかれば…。

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