2012年10月27日土曜日

仮想世界ゲーム 再考中

11月9日に、岡山県のU高校のH先生が来校されることになっている。私の仮想世界ゲームに関心をお持ちで、その実践を模索されているのだ。メールをいただき、U高校が進学校ではないことを知った。仮想世界ゲームは、基本的に大学生レベルのシミュレーションなので、前任校の3年生の実践でも、あるいは国立の優秀な高校をはじめ8校合同で行った実践でも、必ずしもうまくいったとはいいがたい。そこで、これまでの仮想世界ゲームをそのままやっていただくより、以前前任校のU先生と2人で考えだした「ESDのための仮想世界ゲーム(高校生版)」をもとに、マニュアルをつくり、事前学習の構想を含めてレクチャーしようと思っている。この「ESDのための仮想世界ゲーム」は、仮想世界ゲームを基盤にしているが、大きな違いがある。(私は、ありがたいことに名古屋大学の広瀬先生に、2010年夏の時点でゲームルール等、自由な活用の許可をいただいている。)

まず、「仮想世界ゲーム」が個人戦であり、ゲームの勝者は個人であるが、「ESD」の方はグループである。つまり、グループ単位でゲームを行うのだ。高校生には、その方がうまくいくと思う。心理学のためのゲームではなく、あくまでESD教材としては個人間の葛藤を少なくした方がよいと判断したのだ。
また、先進国3と途上国4を基本に、ゲームの方向性をある程度決めてある。それは、先進国が途上国の持続可能な開発を進めるというものだ。よって自由度は「仮想世界ゲーム」よりかなり低くなる。先進国の勝者はその国の富ではなく、途上国への貢献度で決める。途上国の勝者は開発度(富)で決めるが、自国の投資を進める為簡単なPRSP(貧困削減戦略文書)を書いたり、観光会社をつくったり、「仮想世界ゲーム」では先進国にしか設置しない企業をつくれたりするようにした。かなり開発経済学の実際に近づけてある。

先週から、空き時間に新たな「マニュアル」を制作している。これまでの2回の実践体験からいかにすれば、普通の学力の生徒がこのゲームを楽しみ、学べるかを考えている。本校でも、3学期に実践するつもりでいる。

企業の収益を計算するのが大変だったので、少人数でも経営が可能なように、一気に簡単にした。また、食料チケットの価格も、先進国のメンバーなら10sim以上、途上国のメンバーには10sim未満とした。やはりある程度自由裁量をもたせたい。また、餓死(2回連続して食料チケットを購入出来ない場合餓死するルール)することのないように、農園主が農場を拡大するように誘導するルールをつくった。

数値バランスが命のシミュレーションゲームである。また、現実と仮想のバランスも重要である。H先生が来校される日まで、何度も推敲を重ねながら、考え抜きたいと決意している次第。

0 件のコメント:

コメントを投稿