2018年2月17日土曜日

南アのズマ大統領辞任の件

https://www.newyorker.com
/magazine/2010/07/05/
the-third-man-7
南アのズマ大統領が辞任したという。アフリカでは、ジンバブエのムガベ大統領の辞任など辞任続きである。ある意味で、民主主義が有効に作用していると言えると思われるが、途上国に於ける開発独裁、あるいはそれに近い政権で、汚職がはびこるのはある意味で当然の話であると私は考えている。日本でも明治期の政権では同様の汚職(特に長州系が酷い。)はあったし、先進国的な上から目線でただ批判するのは私はどうかと思う。ましてアフリカは「情の経済」の世界である。一族から権力者や富者が出た場合、多くの血縁・地縁者が群がるのは避けられない。これを避けたとしたら、呪術で呪われるだろうと思う。なかなか政権と汚職といっても深い文化的な問題があるわけだ。
ところで南アはアフリカでもマスコミの自由度が高いので、汚職追及については厳しい。こういう政権とマスコミの対決の経験値が、いずれ汚職を払拭していくはずである。歴史はそれを教えてくれている。まあ、「ローマは1日にしてならず」ですな。

ズマ大統領は、マンデラ大統領・ムベキ大統領に継ぐ黒人政権の3代目である。わりと低所得層に支持基盤を持っていた。彼は、中国との接近をはかり開発独裁的手法をとるが、ジニ係数が大きくなる。つまり経済格差が激しくなったのである。南アは世界第2位(74.9)である。(ちなみに、世界平均は39.5、中国47.3、アメリカ45.0、マレーシア46.2、日本37.9である。)この原因は、石油をはじめとした鉱産資源の国際価格の低下で(石油に他の国産資源価格も連動するので)プラチナなどの南アの輸出の主力である鉱業の業績が低迷したことにある。それに加えて、アメリカの政策金利が上がり、南アへの投資がアメリカに逆流したことも大きいようだ。経済的に行き詰まり、しかもストライキ等を弾圧してしまった故に人気が落ち、それ見たことかと汚職報道が過熱した故の辞任だという。ただ、次のラマポーザ氏も鉱山スト弾圧ではもズマ氏と同じ穴の狢であるらしく、南アの先行きは見えないのだという。南アはG20のメンバーである。おいおい大丈夫か?と言われ始めている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20180216-00081698/

…アフリカの開発を考える際に、ポール・コリア-氏などは、民主主義の確立を強く主張するが、私はそれはかなりの”上から目線”ではないか?と思っている。アフリカという文化的な土壌はそう簡単に変わるとは思わない。
しかも南アの経済を悪くしたのは、全て政府の責任ではない。アメリカは、ドルという基軸通貨をあやつり、(過去のパクス・ブリタニカのポンドを支えた金本位制のような制限もなく)自国に有利なように持っていける術がある。石油の価格も先物取引が主で、その売買は投機筋によって動かされているのは周知の事実である。南ア経済を悪化させたと言われるズマ氏を弁護する気はないが、そういう構造的な暴力のコードに途上国はみんな支配されていることを確認しておきたい。これは、途上国だけではなく、中進国・マレーシアも、そして先進国・日本にもあてはまるようだ。(今、そんな関係の本も読んでいるのであった。)

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