2017年3月1日水曜日

IBTの話(83)F38準備学習

F38の文系クラス、週1時間の授業では、EJUの総合科目のための準備学習を進めている。マレー系の学生には一神教の話に属性があるので、多文化理解から入ったが、その着地点は「神定法」と「人定法」である。結局かなり高度なことをやっているわけだが、十分理解してくれたようだ。これで、法の支配や社会契約説などの準備は十分である。
次に多神教にも触れて、ギリシアに無理矢理持って行った。多神教のギリシア、そしてローマで、ヨーロッパの社会類型が生まれ、民主制が生まれ、人定法のローマ法が生まれる。キリスト教を受容したローマでも、当然人定法が重用され、それがヨーロッパの伝統になっていく。こうしたヨーロッパの土台を教えているわけだ。

次に、中世と近世の概要を説明している。万人の万人に対する戦いである中世では、結局傭兵をいかに多く雇えるかという話になる。ここからは、来週以降の授業になるが、傭兵を多く雇える経済力は、十字軍以後の重商主義と関連がある。レコンキスタによる新興国ポルトガルとスペインが、結局覇者となるわけだ。次にルネサンスと宗教改革を論じて、イギリスの国教会の話になる。ここでこじれた英西関係にカルヴァン派のオランダ独立がからんでくる。無敵艦隊を破ったイギリスは、やがてオランダに続いてアジアの覇権を手にしていく。その代表的な土地はマラッカであるというのが着地点である。
領域国民国家や、経済学史などの理解の準備学習でもあるし、T先生にやってもらう市民革命からの歴史分野の準備でもある。F38の学生たちも熱心に耳を傾けてくれた。ありがたいことだと思う。

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