2017年2月28日火曜日

ジェフリー・サックスの意見

ジェフリー・サックス氏
lobe.asahi.com/worldeconm
y/090112/01_01.html
さて、先ほどのエントリーの続編である。昨日付けの日経の「グローバル・オピニオン」にあったコロンビア大学教授で開発経済学者のジェフリー・サックスの意見について記しておきたい。彼が意見を述べているのは、当然のごとく、米国トランプ政権についてである。

世代間の政治的分断・若者と年長者の支持する政策の違いを3つの視点(1.社会問題に対するリベラルさ 2.ロボットやAIによる技術革新と経済問題 3.気候変動やその脅威に対する意識)から、まず論じたうえで、こう結論している。

トランプの経済政策は、年配で、白人で、米国生まれの人々に焦点が合わされており、21世紀のロボットやAIが提起する雇用問題に向き合わず、自由貿易の議論を蒸し返し、将来の環境の大惨事という代償を払ってでも米国の石炭、石油、天然ガスからあと数年間利益を絞り出すことに取り組んでいる。彼は歴代のどの大統領より近視眼的で、メキシコや中国との貿易戦争や悲劇的なほどの誤解に基づいたイスラム教徒の移民入国禁止などでは、若者の求めに応じることはできない。トランプの政治的な成功は例外的な出来事にすぎず、転換点ではない。2020年にはミレニアム世代が支持する大統領候補によって、彼らの時代がやってくる公算が大きい。米国は多民族で、社会問題にリベラルな考え方を持ち、気候変動に対する意識が高く、新技術の経済的利益をもっと公平に共有する国になるだろう。

これが、リベラル中のリベラル、ジェフリーサックス氏の意見の要約である。これに対し、日経の大石編集委員が「4年後、修復できるか」として反駁している。「問題はトランプの向こう4年間の暴走によって、次の政権の手に負えないような国際紛争が起き、米社会の分断がさらに深まる恐れがあることだ。保守にもリベラルにも希望を見出せなくなったとき、米国はどこへ向かうのか、想像するだに恐ろしい。」

…ジェフリー・サックス氏は、開発経済学の世界において、大家の一人である。比較的楽観論者であると私も思っている。リベラルに、常識的に理想を語るヒトなのである。極めてジェフリー・サックス氏らしい意見だと思う。だが、私は大石氏の意見に全面的に賛同する。実は、危機がすぐ近くまで迫っているのではないか…と。

とはいえ、久しぶりに、ジェフリー・サックス氏の意見を拝聴できたことが嬉しい。それも日経の紙面上でで、ある。もし私が日本にあって、朝のモーニングでこの日経記事を読んだなら、必ずやコンビニで新しい日経を買っているだろうと思う。IBTの新社長にあらためて感謝申し上げる次第である。

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