2015年2月13日金曜日

日経 エビデンスとTFP

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/13050026.html
日経の「経済教室」は、勉強になることが多い。今朝の朝刊の経済教室は、乾友彦学習院大学教授と中室牧子慶應大学准教授による「根拠に基づく成長戦略を」という内容だった。要するに、政策決定には、ちゃんとした科学的・統計的根拠を基に決定すべきだという話だ。

例えば、地域的な生産性の格差が存在する。東京が第1位で突出している。大阪が第2位だがガクッと落ちる。最下位は長崎県だった。地方創生といっても、この格差はどこから生まれるのか。その原因をきちんと探るべきだというのである。(上記経済産業研究所のPDF資料の画像参照)

グローバル化を進める上で、今最も重要な問題として中小企業の海外進出がある。中小企業の海外進出は、地域の金融機関が大きく関わっていることが統計的にわかっているそうだ。銀行などが、中小企業に海外進出を促すか否かは、その金融機関が握っている情報に比例するらしい。要するに東京に情報が一極集中しており、どんどん海外進出を勧める金融機関が東京の企業の生産性を押し上げているわけだ。反対に地方の金融機関ではそういう情報が生かされていない、ということになる。…なるほど。

この科学的・統計的な根拠を「エビデンス」というらしい。ウィキで調べてみると、医学や保健でよく用いられる用語らしい。効果があることを示す証拠や検証結果、臨床結果といった意味である。確率的な情報で、極めて経済から見れば統計的なものである。ちなみに、先ほどの東京イチバン、長崎サイカイの生産性については、資本生産性・労働生産性だけでなく、「TFP」(全要素生産性)で見ていた。このTFPは、労働力の増加や設備の増設による生産性だけでなく、新しい仕事の仕方、新しい設備投資による機械的生産性の向上を意味する。たとえば、回転寿司チェーンで、タッチパネルで注文できるようにしたり、高速で注文の品を運べるシステムをつくったりして売上が伸びたり、それらの売上データを商品供給にリンクしたりするような話だ。

記事では、さらに35人学級をエビデンスから考察する話もあって面白かったのだが、今日のエントリーの趣旨が不明瞭になるので省略することにする。

エビデンス。TFP。…今日も新たな学びがあった。経済学や経営学、政策学あるいは社会学など社会科学の分野に進む生徒諸君には、やはり日経を読むことを強く勧める。最初はわからなくてもやがて慣れる。わからないことが出てきたら自分で調べる。それしかない。”習うより慣れろ”である。

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