2015年2月3日火曜日

NHK 清掃のプロフェッショナル

NHK プロフェッショナル・仕事の流儀 HPより
昨晩、偶然NHKを見ていたら、羽田空港に勤務する日本一の清掃のプロフェッショナルの話をやっていた。新津春子さんという、中国残留孤児を父にもち、母は中国人で、日本に来てから様々な差別を受けてきた方である。この清掃という仕事も、日本語が不自由で、これしかなかったからだという。「日本でもそうですが、中国でも下に見られる仕事です。」と笑顔で語っておられた。その彼女が日本一になったのは、上司の厳しい指導があったからだという。どんなに技を磨いても褒めてくれない。その厳しい指導があったからこそ、日本一になれたのだという。厳しい指導の中、彼女が自分で気づいたのは、利用する人々へのやさしさ、思いやりといった心の持ち方だったという。そしてついに日本一に。報告に行くと上司から、「今度はまいちがいないと思ってたよ。」と初めて褒めてもらったという。つい、彼女の目が潤む。彼女の清掃は、徹底している。自分のためではない。給料のためでもない。ひたすら気持ちよく空港を利用してほしいと願うココロである。だから、行きかう人々を常に気遣う。やがて、利用する人々に「ありがとう」と声をかけてもらえるまでになったというのだ。

http://www.nhk.or.jp/professional/2015/0202/index.html

この話、まさに私が生徒に常に問いかけている「責任ある行動」の理想そのものである。世界史Bの最後の授業で語ったのだが、私も敬愛する先輩から、一度も褒めて貰えなかった修行時代があった。いつも厳しく指導されてきた。ある大きなイベントがあって、それが終わった時、私の私心のない配慮・行動について一度だけ褒めて貰ったことがある。「うん、あれはよかった。」それだけで十分だった。それが、どれだけ嬉しかったか…。

少し傲慢な言い方になるかもしれないが、一流を育てるには、こういう厳しい師や先輩が必要だ。私は本当に恵まれていたと思っている。その先輩の仮面(ペルソナ)を被りながら、ひたすら自分を磨いてきたつもりだ。いつしかその先輩がするように、常に他者に配慮できるようになった。人に見抜かれ、欠点を厳しく指摘されなければ、人を見抜くことはできない。まさに因果応報なのである。

新津春子さんは、人に責任を転嫁しない。私心なく働き、自分の仕事を誇りにしている。素晴らしい人生ではないか。彼女の笑顔を見て、心からそう思ったのだった。私の教え子にも、どのような仕事であれ、私心なく仕事ができるような一流の人を目指して欲しいと思うのである。

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