2015年2月21日土曜日

中田考氏の新刊新書を読む。

前から楽しみにしていた中田考氏の新刊(イスラーム 生と死と聖戦・集英社新書 2月17日発行)が出た。早速一読した。ノートにメモしながら読んだのだが、かなりの量になった。少し読書ノートの内容をエントリーしたい。

インシャーアッラー(神がそう望み給うなら)の真の意味について。ムスリムが、なにかと話の最後につけるこのコトバは、中田氏によると謙譲の美徳なんだそうだ。日本人の感覚からすると、例えば、「来週また会いましょう。」「はい。神がそう望み給うなら。」そう言われれば思わずムカッとくる。本来の意味は、「自分としては出来る範囲で全力を尽くすが、人間の力の及ばないことについては神様の思し召し次第なので神様のお力添えを願う。」となるそうだ。…なるほど。次から授業の時はそう教えたい。

信仰告白(ラーイラーハイッラーッラー、ムハンマドゥンスールッラー)について。日本語に直訳すると、「アッラーの他に神はなし。ムハンマドは神の使徒である。」になるのだが、この前半部分の”ラーイラーハイッラーッラー”は、さらに2つに分かれる。”ラーイラーハ”は、イラーハがラー(ない)という意味である。後半部の”イッラーッラー”は、イッラーという語とアッラーが重なって発音されている。イッラーは英語でいいうBUTにあたり、アッラーは除くという意味になる。これで、アッラーの他に神なないとなるそうだ。ここで、中田氏は、普通、神と訳される一般名詞”イラーハ”は日本人の理解する神ではないとする。イスラム世界ではルーフという霊やジン(アラビアンナイトなどに登場する魔人・妖精)がある。どちらかというと、日本人が理解する八百万の神の概念はこちらに似ているそうだ。

…これだけでも教材研究としては十分意味がある話なのだが、著作のタイトルにある通り死生観について、かなり詳しく述べられている。これは貴重だ。ジハードの真の意味や、イスラム法(シャリーア)についてもわかりやすく書かれており、面白かった。もちろん、まだ例の事件で、中田氏の汚名が晴らされていないイスラム国の話も書かれている。超お勧めの一冊である。

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